女嫌いな年下のおとこのこ
白米を欲しているだろうと思い特別に土鍋で炊いた白飯を出し、焼き魚と具沢山の味噌汁という朝食の定番を並べる。
あとは彼女の好物である海苔と明太子の卵焼きを置けば、もう聖の視線はテーブルの上に釘付けになっていた。
「すごいよ…ご飯が銀色に輝いてる…」
「どーせお前土鍋なんて使いこなせねえだろ。平伏して崇め奉れ」
「ほんとそう。いただきます!」
言われた通り素直に手を合わせてテーブルに額を付けんばかりに頭を下げ、美味しい美味しいと言いながら食事を進める。
餌付けしている感が否めないが、自分を大事にしない彼女には結局これが一番効果的だ。
料理ひとつで聖の笑顔が見られるなら儲け物だ、そう思いながら正面に腰を下ろして話を振る。
「出張はどうだったよ」
「うん、契約は上手くいったよ」
「…契約"は"?」
どことなく含みのある言葉が引っ掛かり聞き返せば、しまったと言わんばかりに聖は口を押さえた。
飛鳥という男が同行をしていたこともあり、瑞希も神経が過敏になっていた自覚はある。
けれど好きな女に他にも惚れている男がいると知っていながら大人しく指を咥えて見ていられる自分ではない。