浅黄色の恋物語
 金が無くてお茶と飴玉で過ごしたことも有る。 情けなかった。
でもさ、「今に見てろ!」って思ったね。
 そこから3年くらい地獄に嵌ったけど、、、。
妹にくっ付いてる男が居てさ、妹に結婚詐欺を吹き込んだんだ。
 あの3年間はヘドロに足を取られたみたいだった。
サラ金とはトラブるし{成りすまし彼女}にはぼったくられるし、、、。
 故郷を離れた後、それが妹にくっ付いていた男だったっていうのがやっと分かるんだ。
あんな社会勉強も無かったなあ。 教科書じゃ教えてもらえないよ。
 この人生、何なんだろうって落ち込んだことも有ったよ。
でもさ、やってみないと分からない。 それが良くても悪くても。
 悪いことだったら二度とやらなきゃいい。
全盲の兄貴に結婚詐欺を吹き掛けるなんてひどい妹だよなあ。
でも妹だってやるまで悪いことだとは分からなかったんだろう。
だからって金輪際再会しようとは思わない。 汚点だから。

 切れてばかりだなあ。 でもまあそれも人間だ。
四六時中笑ってたら気味が悪いよ。
 さあさあまたまた久子姉さんに会える日が来ましたよ。
久子姉さんしか居ないのかって? そんなことは無い。
 早苗ちゃんだって敬子さんだって居る。
でもなぜかお喋りするのは久子姉さんが多いっていうだけ。
 看護師だったからね、このお姉さん。
 だんまりナースには看護なんて出来ないよ。
黙りこくって注射されたら怖いよ。
ムッとした顔で体温を測られても怖いよ。
 やっぱりナースは明るく笑ってくれる人がいいねえ。
そりゃあ言いたい時にはガツンと言い返す人だって必要だよ。
 以前、こんな記事を見たことが有る。
 採血する時にナースが手袋をはめたんだ。
それを見た患者が「俺の手が汚いっていうのか?」って噛み付いた。
そのナースは静かにきっぱりと「そうですよ。」って返した。
 そうだよなあ、患者だからっていちいち全身消毒してから病院に来るわけじゃないんだ。
おまけに注射針は何処に刺さるか分からない。 刺されば体液が付くわけだ。
それを素手で触るわけにはいかない。
だから手袋をはめる。 理に適ってるんだねえ。
 患者は我慢できないから院長に不満をぶつけた。
 院長も「そりゃそうだよ。 辺り構わず触って病気になったんじゃ堪ったもんじゃない。 それで患者さんに触って病気を移したらさらにとんでもないことになるじゃないか。」ってお説教をしたという。
確かに病院は何処を見ても血液を調べている。
何処で血液感染してもおかしくない状態だ。
身を守るのは当然だよね。
 ぼくらだって手の消毒は欠かせない。
マッサージだとそこまで気を使わなくてもいいけど鍼はね、、、。
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