浅黄色の恋物語
 「私の気持ちです。」 3月も終わる頃、職員の高石さんがカップラーメンをくれた。
(ここまでされたらグループホームを抜けられないなあ。)
 いつもいつも誰かがお喋りをしていて、誰かが喧嘩をしている。
外にタバコを吸いに出て行く人も居る。
静かに寝ている人も居る。
一見すると平和そうに見えるグループホームだ。 そこでぼくらも仕事をしている。
 付き合いは長いんだよなあ。
ぼくだって丸々2年はお世話になってる。 うん。
 もうすぐ代表が帰ってくる。 そしたらまた忙しくなるなあ。
代表とはいっても新人さんだ。 鍛えていかなきゃね。
ぼくはもうすぐ60も近いんだから。

 そうそう、ぼくの部屋にはホームヘルパーが来ます。
週に二回掃除をしてもらってます。
洗濯や食事は見えなくてもやるけど掃除はちょっとね、、、。
 隅っこのゴミを取り損ねたりするからさあ、、、。
メインで来てくれるのは川島由美さん。 元気印のママです。
 いっつも何かとやり合いますねえ。 喧嘩してるわけじゃないんだけど。
次によく来るのは中山京子さん。 チビだけど元気なお姉さんですねえ。
 ほんとに北斗市に引っ越してからはお世話になりっぱなしです。
あとね、たまに来るのが社長の香川佳代子さん。 この人がまた地味に面白い。
突っ込んでみても際どい所でスルーされます。 肩透かしお姉さんです。
 そして最近来るようになったのが新人の北川真代さんですわ。 初恋の人にそっくり。
まだまだ若いんだよなあ。 でもなんか面白い。
 ヘルパーステーションもいろんなのが在ります。
従業員同士で悪口を言うような事業所に当たると最悪。
 しかもそれがぼくらの耳に入っちゃうから大変。 広がらないようにしないと事業所が潰れちゃう。
これまでにいろんな事業所とヘルパーを見てきました。
個性的だったなあ 何処も。
 でもさあ時間を守れないヘルパーとか連絡を寄越さない相談支援員とか見掛けたなあ。
そんなのに当たると精神的にきついですねえ。 やってやってるって思ってる。
 お互いに「やらせてもらってる。」「していただいてる。」なんですよ。
そうじゃないとヘルパーとはうまく付き合えません。
聞いたところでは今の事業所がヘルパー数で一番なんだとか、、、。 吉本見たいだもんなあ。
みんな仲いいし面白いし言いたい放題だし。
 揃って冗談も言うしねえ。 見たことが無いなあ、こんなに仲のいい事業所は。
社長さんもヘルパーだから先頭を切ってまあよく動く。 だからみんなが付いてくるんだね。
 社長がフランス人形みたいだったら誰も付いてこないよ たぶん。
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