低温を綴じて、なおさないで



「栞からいつ彼氏報告されるかなって最近ずっと考えてる。鍵、いつ持って来れそう? 金曜とか」


「あー……ごめん、その日は予定が」


「……ほら、今回は鍵もらうまでもないかも」




缶に口をつけて、ごくりと飲み込んだ喉仏を追った。あまりにもその動作を目で追ってしまったからか、「飲む?」と差し出されたけれど首を横に振った。


わたしは、わたしのために選んでくれたホワイトビールで十分だから。




「矢野葉月でしょ、その予定」


「……うん、そう。お見通しだね」


「何年栞の幼なじみやってると思ってんの。どうなの?付き合うの?」




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