バツイチ美女と 御曹司
百六十センチの身長は日本人では標準で
スレンダーな体系は周りの女性からは
羨ましがられるが、
悪く言えば凹凸がないと言うことだ。

女性の色気とは無縁だ。

清廉ですがすがしい春の風のような
イメージだ。

そしてマリはいつも年より若く見られる。

特に外国ではテイーンエイジャーに
間違えられることもしばしばで
身分証は欠かせなかった。

たおやかで優しく思いやりのある
性格ではあるが案外頑固で根性もある。

強い部分も秘めた女性だ。

だから、二年半家族にも友人達にも
一切弱音を吐かず一度も日本に帰る事なく
自分で決めたことをやり遂げたのだ。

ロンドンとパリで孤軍奮闘した二年半。

今はやり切った充実感とこれから新しく
挑む自分の人生に、武者震いしつつ、
荷物を引き取り顔を上げて背筋を伸ばし
颯爽と荷物を載せたカートを押し歩く。

出口を出ると

「マリ!おかえり。」と声がかかった。

親友の優依、菊枝、穂香が
出迎えてくれている。

出迎えなんて期待していなかったので
三人の姿を見て目頭が熱くなる。

二年半前、一から人生をやり直すつもりで
イギリスへ飛び立った。

優依たちが背中を押してくれたから
思いきれた自分の決断。

そんな日々が走馬灯のように脳内をめぐる。

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