狂気のお姫様
第12章

第1節 純粋な心配

「小田ー」

「ん?」


休み時間、最近私の頭をいじるのが趣味になりつつある小田に、三つ編みをされていると、携帯がチカッと光った。


「やっぱり一緒に帰れないわ、しばらく」

「え」


送り主は、ジローさん。

内容は一言「しばらく陽介と帰れ」とのこと。

詳しいことは、家に帰ってから話してくれるとして、まぁ、何かあったのだろうな。

今まで、怒られることはあっても、行動の制限をされたことがなかったため、何があったか考えるだけで気が滅入る。


「なんかあったのか?」

「うんー、らしい、多分。陽ちゃんとしばらく帰れって連絡きた」

「黒塗りの車じゃないんだ……」

「その期待まだ捨てきれてなかったのかよ」


悪かったな、陽ちゃんで。しかも車でもなく、バイクで。

こんな高校とはいえ、明らかに本職が乗ってそうな車が毎日迎えに来てたら怖いだろ。


「じゃあしばらく東堂とパフェ行けないな」

「そーだなぁ」

「蘭くんとも3人でクレープ行こうねって話してたのに…」

と小田は残念そうに三つ編みをほどく。

客観的に聞いてると、こいつ食い意地すごいな。


「しばらくっていつまで?」

「えー、今のゴタゴタが終わるまで?分かんない」

「とりあえず今日から?」

「多分……あ、今日放課後パフェ行くって言ってたんだっけか」

そういえば昨日言われてた気がする。

「そーだぞー。このために今日授業中寝ないで頑張ったのに」

「残念ながら寝てたぞ」

「……嘘だろ?」


寝ている時の記憶は絶対ないはずなのに、何をもってして自分が起きていられている、と思っているのかが、甚だ疑問である。


「なー、東堂ー、行こーよ行こーよ行こーよーー」

小田はわざとらしく机をパタパタと叩く。

「放課後のパフェはうまいぞ?身に染みるぞ?」

ここまで言われたら、私も帰りに甘い物を食べたくなってしまうじゃないか…。

「甘い物って正義だよな……」

「だろ?」

「逆に陽ちゃん連れてく?」

「え」


その返答は考えてなかったのか、あからさまに狼狽える小田。


「私如月さんとそんな話したことない」


確かに、長谷川蓮や佐々木夕はよく遭遇するので話す機会もあるが、他の3人と小田はあんまり話しているイメージないかも。

というか、長谷川蓮と佐々木夕が野生のポ●モンすぎるだけか。


「よし、こうなったら陽ちゃんに連絡だ」

小田の返事は聞かず、自分の甘い物欲を優先。

一応ジローさんにも、今日は甘い物食べて帰ると連絡し、陽ちゃんにメッセージを送る。


「あの美形を目の前にしたら、パフェ食べる気失せそう……」

小田よ、諦めろ。
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