寵愛の姫 Ⅲ【完】
「ちょっと、ね。」
「うん?」
「ただ、虫が出たから、“駆除”をしただけだよ?」
「………虫?」
きょとんと、目を丸くして首を傾げる神無に笑って、俺はその髪を撫でる。
ーーーー知らなくて良いよ。
俺の汚い裏側なんて。
神無は、ずっと、そのままの君でいてよ。
「………大丈夫。」
「え?」
「駆除は、終わったから。」
見せたくない。
醜い、人間の一面なんて。
あの日、“あの女”の事で泣いた神無には、俺は何も見せたくないんだ。