両片思いだったのに略奪されて溺愛されました
俺の殴られた顔を見て、伊藤さんの顔が歪む。
「あっ、敦史がやったの?」
罪悪感なのか、瞳が揺れている。
「どうでもいいことです」
持ち上げた伊藤さんを床におろして、「とりあえず朝まで寝させてもらいます」と言って靴を脱ぐ。
そして腰砕けの伊藤さんをまた抱き上げる。
「ごめ……」
「貴女が謝ることじゃないですから」
「――でも」
「エレベーターの中で、貴女に会った時から。嫌な予感はしていたんですよね」
いや、多分。
もっと前から。