追放された聖女を待ち受けていたのは、エリート魔法師団長様との甘やかな実験の日々でした
併せて私は先日アルヴィンから伝え聞いた話も父と弟へ開示した。
二十年前の密通事件について話した時には、私にとっては物心がつく前の出来事であるのに対し、父には記憶に新しい出来事だったようで、当時を回想するように遠い目をしていた。
「そうか、王都でも危機感を抱いてくれているのだな。それに王太子殿下がお前に注意喚起をしてくださった内容は実に核心をついている」
「というと?」
「フィアストン領でもここ数ヶ月、諸外国から来る者の検問を厳しくしているのだが、帝国の工作員だと思われる怪しい人間を何度か摘発したのだ」
「父上のおっしゃる通りです。検問で引っ掛かった者は然るべく対処しましたが、もし国内貴族に密通者がいたならば……巧妙な手口で手引きされ、入り込まれている可能性も否めません」
父と弟からもたらされた情報により、すでに相手の手の者が潜伏している疑いが濃厚になった。
敵国の動きに遅れをとっている事実に歯痒さを感じる。
「それとな、もうひとつ気になっているのは教会の動きだ。ここ半年ほど教会の人間の行き来が多い。布教のためだと主張してはいるが」
それはなんとも疑わしい。
教会への心証が悪いため余計にそう感じてしまう。
その後、私は父と弟に頼み、ここ数ヶ月の間で国境を行き来した貴族のリストも見せてもらった。
密通者の疑いが僅かながらもあるとして、このリストはすでに王家へも秘密裏に共有しているそうだ。
私はそのリストの中に記載された一人の人物の名前を見つけ眉を寄せた。ティナが教えてくれた人物に縁がある貴族だったからである。
……これは……二人が共謀している? もしくは片棒を担がせている?
実験結果を考察する時のように、思考の波に沈みそうになっていた私だったが、残念ながらそれは長くは続かなかった。
「さて、そろそろ次の予定も迫っているから話はこの辺りにするか。せっかく領地に帰ってきたんだ、今夜はゆっくりしていけ。ちょうど夜会もあるからな」
父がニヤリと笑って口にしたこの言葉に意識を引き戻されてしまったからだ。
二十年前の密通事件について話した時には、私にとっては物心がつく前の出来事であるのに対し、父には記憶に新しい出来事だったようで、当時を回想するように遠い目をしていた。
「そうか、王都でも危機感を抱いてくれているのだな。それに王太子殿下がお前に注意喚起をしてくださった内容は実に核心をついている」
「というと?」
「フィアストン領でもここ数ヶ月、諸外国から来る者の検問を厳しくしているのだが、帝国の工作員だと思われる怪しい人間を何度か摘発したのだ」
「父上のおっしゃる通りです。検問で引っ掛かった者は然るべく対処しましたが、もし国内貴族に密通者がいたならば……巧妙な手口で手引きされ、入り込まれている可能性も否めません」
父と弟からもたらされた情報により、すでに相手の手の者が潜伏している疑いが濃厚になった。
敵国の動きに遅れをとっている事実に歯痒さを感じる。
「それとな、もうひとつ気になっているのは教会の動きだ。ここ半年ほど教会の人間の行き来が多い。布教のためだと主張してはいるが」
それはなんとも疑わしい。
教会への心証が悪いため余計にそう感じてしまう。
その後、私は父と弟に頼み、ここ数ヶ月の間で国境を行き来した貴族のリストも見せてもらった。
密通者の疑いが僅かながらもあるとして、このリストはすでに王家へも秘密裏に共有しているそうだ。
私はそのリストの中に記載された一人の人物の名前を見つけ眉を寄せた。ティナが教えてくれた人物に縁がある貴族だったからである。
……これは……二人が共謀している? もしくは片棒を担がせている?
実験結果を考察する時のように、思考の波に沈みそうになっていた私だったが、残念ながらそれは長くは続かなかった。
「さて、そろそろ次の予定も迫っているから話はこの辺りにするか。せっかく領地に帰ってきたんだ、今夜はゆっくりしていけ。ちょうど夜会もあるからな」
父がニヤリと笑って口にしたこの言葉に意識を引き戻されてしまったからだ。