無気力な王子様は、今日も私を溺愛したがる


なんとなく、目の前のテレビをつける。



こんな時間帯にやっている面白そうな番組はなくて、無難にニュースにしておいた。



それなのに、一樹くんのことばかり考えてしまって、音声は右から左へと流れていく。



内容なんて全然頭に入ってこない。



前より一樹くんのことを考える頻度が多くなってきた気がする。



それに、〝好き〟の気持ちも大きくなっているように思うんだ。



だから、暇になると、決まって一樹くんのことを考えてしまう。



……まだ、帰ってこないよね。



話したいなって思う。



私とたくさん話をしてくれるようになった、一樹くんと。



なんて思っていたとき、急にガチャ、と玄関の戸が開く音がした。




「え……」



驚いてそんな声をあげてしまうのとほぼ同時に、一樹くんがリビングのドアを開けて入ってきた。



……嘘っ。





「な、なんで……っ」


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