無気力な王子様は、今日も私を溺愛したがる
彼と先輩





『俺、朝倉のこと大っ嫌いなの』



今日のお昼休みの、染野くんの言葉を唐突に思い出す。


思わず、小さくため息をもらしてしまった。


学校帰り、電車に揺られながら窓の外を見つめる。


ちなみに私は、ドアの近くに立ち、そばにある手すりに捕まっている。


どうしてこんなことになっちゃったのかなぁ……。


思っても意味の無いことを考えてしまう。


いや、正確に言えば私が悪い。


私が、染野くんの好みに反する人だったって、


染野くんにとって、私が気に入らない存在だったって、それだけの話。


そんな当時のことを、私はぼんやりと思い出していた。

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