無気力な王子様は、今日も私を溺愛したがる


「……っ、ありが、とう」



へらりと一樹くんに向けて笑みを浮かべた。


そんな私を見て、一樹くんは「ん」と目をそらして私の頭にぽんと手を乗せた。


……きゅんっ。

心臓がそんな音を立てて、私も何となく目を逸らした。



「なんであいつ、家にいたの?」

「あ……、えっと、そ、それは……」



思わず口ごもってしまう。


だけど、一樹くんは続きを促すように私に視線を向けてきたから、口をつぐんでいるわけにはいかなさそうだった。



「インターホンが、なってね。
一樹くん、鍵忘れたのかもしれないって……。
きっと一樹くんだと思って、モニター確認せずに開けちゃったら、違くて」



モニター、これからちゃんと確認しなきゃな……。

こうなったのも、モニターを見なかった私が悪いわけだしね……。


なんてしゅんとしながら心の中で反省をしていると。



「……玲奈のバカ」

「……っ、ごめんなさい」


< 422 / 486 >

この作品をシェア

pagetop