無気力な王子様は、今日も私を溺愛したがる
「……っ、ありが、とう」
へらりと一樹くんに向けて笑みを浮かべた。
そんな私を見て、一樹くんは「ん」と目をそらして私の頭にぽんと手を乗せた。
……きゅんっ。
心臓がそんな音を立てて、私も何となく目を逸らした。
「なんであいつ、家にいたの?」
「あ……、えっと、そ、それは……」
思わず口ごもってしまう。
だけど、一樹くんは続きを促すように私に視線を向けてきたから、口をつぐんでいるわけにはいかなさそうだった。
「インターホンが、なってね。
一樹くん、鍵忘れたのかもしれないって……。
きっと一樹くんだと思って、モニター確認せずに開けちゃったら、違くて」
モニター、これからちゃんと確認しなきゃな……。
こうなったのも、モニターを見なかった私が悪いわけだしね……。
なんてしゅんとしながら心の中で反省をしていると。
「……玲奈のバカ」
「……っ、ごめんなさい」