君との恋は面倒すぎる
 家に帰ってお風呂やご飯を済ませ、部屋に戻りスマートフォンを見た時だった。

 蒼空くんから不在着信が入っていて三度見はした。


(え、蒼空くん!?)


 画面を確認し、慌てて電話をかけ直す。
 数コールの後、音が止む。


「も、もしもし!」

『久しぶり、連絡見たから電話した』


 連絡見たから電話した!?

 文字でのメッセージでも貴重だと言うのに、声まで聞けるなんて天と、思わず拝んでしまう。

 そんな私の間抜けな姿も知らず蒼空くんの冷静な声は続く。


『花火大会、その日空いてる』

「え、本当?」

『うん、夏休み中出かけれてないし、思えば付き合ってから休日にも会ってないから。行く?』


 行く?なんて貴重なお誘いに今にでも天に昇れそうな気持になる。可愛いお誘いが尊すぎて声が出ない。

 なかなか返事をしない私に『…七瀬?』と問いかけてくる声が聞こえる。


「まって、ドキドキしすぎて声が出ない」

『出てるし、どこにドキドキしたの』


 冷静なツッコミを受けるがいまだに、ときめきは止まらない。

 なんとか気持ちを落ち着かせてから「一緒に花火行きたい」と言葉にした。


『うん、時間とかはメッセージで相談しよ』

「うん!声聞けて嬉しかった。今日ドキドキしすぎて寝られないかも」

『…何でそんな恥ずかしいこと言えんの』


 少しだけ照れくさそうなそんな声。

 どんな表情して話してるのか見たいな。
 早く会いたい。


「恥ずかしくないよ、全部本当のことだもん」

『本当のことだから伝えるの難しいんだよ』


 そう呟く蒼空くんの声を聞いたけれど、私にはどういう意味かはわからなかった。

 だって、私は思ったことは出来る限り伝えたいと思うから。
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