The previous night of the world revolution3〜L.D.〜
「革命を数時間後に控えて、呑気なものですね。坊っちゃん」

「ご、ごめんユーレイリー…。そんな怒らないでくれよ…」

ユーレイリーは俺とセトナ様の間に入り、そっと俺の肩を押した。

離れなさい、ってことなのだろう。

俺だって、そんなつもりは。

「惜しかったのう。我らが来るのがあと一時間も遅ければ…思いを遂げられたものを」

にやにやしながら、ミルミルが肘で俺の腕をつついた。

おい。何のことだ。

「からかうのはよしてくれ、ミルミル…」

こういうときのミルミルは、最高に輝いてるからな。

頼むから、俺を弄って遊ばないでくれ。

悪趣味にもほどがあるぞ。

「未成年で、しかも外で、なんて…。不健全よ、ルアリス。良くないと思うわ」

「やめてくれ…ラシュナ…」

俺、何もする気はないから。

ルレイア殿じゃないんだから。

「それだけ余裕があるのは良いことじゃないか?」

「そうそう。ベッドの中で震えてるよりずっと良いんじゃない」

ヴァルタとヴィニアスまで。

俺、そんな余裕なかったから。割とずっと緊張してたから。

「と、とにかく!皆…命を懸けることになると思うけど、宜しく頼む。これまでよく、俺についてきてくれた…。あと少し、協力して欲しい」

俺は強引に話をずらして、リーダーとしての威厳を保とうとした。

一度…皆には、ちゃんと言っておこうと思っていたのだ。

「ふふ。今更言われるまでもないわ」

「こちらこそ、宜しくお願いします」

「労いなら、全部終わってから言ってくれ」

「あー…うん。面倒だから…そういうこと、今更言わなくても良いよ…分かってるし…」

ミルミル、ラシュナ、ヴァルタ、ヴィニアスは相変わらず。

「何処までもお供致します。我が主」

ユーレイリーも、いつも通り頼もしい。

そして、セトナ様。

「一緒に…祖国に夜明けを」

「…はい」

俺は、仲間達と朝焼けの空を見上げた。

「…夜が、明ける」

かつて英雄が見た景色を、俺はその目に焼き付けた。






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