The previous night of the world revolution3〜L.D.〜
その後俺とフューニャは、屋台で食べ物を買って、花火を眺めた。

そういえば、俺、花火なんてまともに見るの初めてだな。

帝都主催の花火大会、毎年やってたけど、フューニャに会うまでは花火なんて、うるさいだけだと思ってた。

見てみると、案外綺麗なもんだなぁ。

まぁ、フューニャの方が綺麗だけだな。

ルルシーさんやルレイアさんも来ると言っていたが、何処で見てるのかな。

ルレイアさんの浴衣姿、多分凄いんだろうな。

俺はフューニャの浴衣姿の方が好きだけど。

「…んー」

フューニャは足の指を押さえていた。やっぱり痛いみたいだ。

「大丈夫?絆創膏貼るか」

「ください」

フューニャに絆創膏を渡すと、自分でぺた、と貼っていた。

女の子はこれがあるからな。可哀想に。

最悪、俺がおんぶして帰ろう。

「ルヴィアさん、焼きそば食べないんですか?」

「ん?いや…」

さっきから、俺の割り箸は止まったままである。

花火を見ていたせいもあるが。

正直ちょっと、何て言うか。

「…あんまり美味しくないなぁと思って」

「そうですか?ルヴィアさんは口が驕ってますね」

「そうかな…。いや、フューニャのご飯と比べたら…」

…全然美味しくないんだよな。

この焼きそば、なんかべちょべちょだし。

普段から美味しいものを食べ過ぎていると、こういうとき困るな。

「まぁ、正直私もあまり美味しくないですが」

だよな。

俺達二人共口が驕ってる。良くないな。

仕方ないから、食べるよりも花火を見よう。折角来たんだし。

「花火って凄いですね。どうやって作ったんでしょう」

「本当になぁ…」

「ミルミル達にも、見せてあげたかったです」

…確かに。

箱庭帝国の人々は、花火なんて見たことないだろうからな。

見せてやったら、多分喜んでくれるだろう。

じゃ、来年はミルミルを呼ぼうか。

その場合…俺がハブられる可能性が高いが…。

でもフューニャが喜んでくれるのなら、良いや。

「…綺麗ですね、花火」

「そうだな」

まぁ、俺は花火を眺めてるフューニャの方がずっと綺麗だと思うけどな。
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