こっから先ははじめてだから

「憂さあん! 飲み会参加してるの珍しいですね?! ぜひビール注がせて下さい!」

「いや、俺はいいです。」

「えー、じゃあ他のお酒頼みますぅ?」

「いや、いいです。」
 
   
 憂先輩の珍しい参加とあってか、周りが必死に声をかけに行っている。憂李月と距離感バグれるまたとないチャンス。

 それなのに先輩は、来る者拒みすぎ。すぱんすぱんと周りをカマイタチで切っている。

 そして正座も崩さず、何事もなかったかのようにお通しの鯨ベーコンとカイワレの和え物を食べているのだ。

 周り、甚大な被害が出てますよ?


 それにしても先輩、綺麗な食べ方してるなあ。
 
 周りに私との親密さを伺わせてもいけないと、ずっと見ないようにしていたのに。つい見ちゃった刈谷スコープ。

 憂先輩とは、予想通り目が合って。先輩は眉を下げてふわりと宴会間初の笑顔を見せた。

慌てて日本酒 『而今《じこん》』のおちょこを両手で持ち上げて、憂李月の酔いを覚ます。

< 7 / 151 >

この作品をシェア

pagetop