桑谷くんの彼女(偽装)になりました。


スマホを片手に屋敷を飛び出し、翔に電話をかける。

全速力で走る中、翔が電話に出た。


『もしも、……』

「翔に、今すぐに会いたい……っ」


夜の街を駆け抜ける。

私はそれだけ言うと、電話を切った。


一分一秒でもいい。できるだけ早く翔に会いたい。

会って、この想いを伝えたい。


どんどん膨らむこの気持ちを。


遠くに人影が見えた。それが翔だと分かるのに時間は掛からなかった。


月明かりに照らされた美しい金髪が夜風になびく。


「翔───…っ!」


私はその胸に向かって、勢いよく抱きついた。


「わっ……」


翔が大きな胸で私を抱きとめてくれる。


「翔、翔っ」

「ははっ、どうしたの華恋」

< 84 / 87 >

この作品をシェア

pagetop