桑谷くんの彼女(偽装)になりました。
スマホを片手に屋敷を飛び出し、翔に電話をかける。
全速力で走る中、翔が電話に出た。
『もしも、……』
「翔に、今すぐに会いたい……っ」
夜の街を駆け抜ける。
私はそれだけ言うと、電話を切った。
一分一秒でもいい。できるだけ早く翔に会いたい。
会って、この想いを伝えたい。
どんどん膨らむこの気持ちを。
遠くに人影が見えた。それが翔だと分かるのに時間は掛からなかった。
月明かりに照らされた美しい金髪が夜風になびく。
「翔───…っ!」
私はその胸に向かって、勢いよく抱きついた。
「わっ……」
翔が大きな胸で私を抱きとめてくれる。
「翔、翔っ」
「ははっ、どうしたの華恋」