【電子書籍化】出世のために結婚した夫から「好きな人ができたから別れてほしい」と言われたのですが~その好きな人って変装したわたしでは?
「魔法研究部ということは、これからわたしがお世話になる部署ですね」
「むしろ、我々がホラン様にお世話になります」
 ホラン様と呼ばれるのは、いささか変な感じがした。
「あの……わたしも『様』をつけて呼ばれるような、そんな立派な人間ではありませんので。普通にしてください」
「ですが……」
「カタリーナと呼んでください。名前のほうが距離感もぐっと縮まって、よくないですか? これから一緒に仕事をするわけですよね?」
「そ、そうですが……」
 セールは戸惑っているようだった。
「メリネの研究所は、所員は平等なのです。わたしはその教えに従っているだけです。もしかして、軍は違うのでしょうか?」
 縦社会であるのはわかっている。しかし、アンヌッカは軍人ではない。
「はい。階級がありますから」
「でしたら、わたしはどの階級になりますか?」
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