黒澤くんの一途な愛


「えっと、この人は緋山透くん! 昔、同じマンションに住んでいた子で……小学校の先輩なの」

「ふーん?」


まだ睨み続けている黒澤くんに、透くんが軽く会釈する。


「栞里、言ってた参考書はあったのか?」

「えっと、あったのはあったけど……」


私は、透くんのほうをチラッと見る。


「いいよ。俺は急がないから、それは栞里ちゃんが買って?」

「いいの? ありがとう……わっ」

「参考書あったのなら、さっさと行くぞ」


黒澤くんが私の手首をつかみ、少し強引に引っ張っていく。


黒澤くん、何だか機嫌悪い?


ファストフード店にいたときは、むしろ機嫌がかなり良さそうだったのに……。


「ご、ごめんね透くん。またね!」

「うん。またね、栞里ちゃん」


透くんがニコッと微笑みながら、ひらひらと手を振ってくれる。


今度透くんに会ったら、もう一度ちゃんとお礼を言おう。


そんなことを考えながら私は透くんに手を振り返すと、黒澤くんと一緒に本屋さんのレジへと向かった。

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