【完結】トレード‼︎ 〜婚約者の恋人と入れ替わった令嬢の決断〜
「――ごきげんよう、先生。わたくし、用事があるので失礼しますわね。行きましょう、レグルスさま」
「もう少し、頼りがいのある先生になってほしいところだな」
ぽつりと彼がつぶやいた。心の中で、わたくしも賛同する。並んで歩く彼に視線を向けると、ぱちっと視線が交わった。そして、「災難だったなぁ」と声をかけられた。
「そうね」
「他人事のように聞こえるなぁ」
「それは、もう少しすればわかると思いますわ」
くすりと笑みを浮かべてみせると、彼は小さくうなずいた。屋上へ足を進め、クロエを待った。屋上はあまり人がこないから、待ち合わせにぴったりだと思うわ。
「すみません、お待たせしました」
クロエにも、昼休みに『放課後、屋上で』と伝えていたから、ここまで来てくれた。
わたくし、レグルスさま、クロエの三人を囲うように魔法を発動させた。念には念を、とよく言うでしょう? この魔法は防音の効果がある魔法だ。内緒話をするのに、ぴったりなのよね。
「さて、レグルスさま。わたくしに興味がありまして?」
「……ああ。きみの身体と、魂が釣り合っていないように見えたから」
――この人、そういうことも見えるのね。クロエが息を呑んでわたくしを見た。わたくしは彼女に向けて微笑みを浮かべ、レグルスさまを真っ直ぐに見据えて口を開く。
「階段から落ちた『マーセル』とぶつかったら、中身が入れ替わってしまったの」
「もう少し、頼りがいのある先生になってほしいところだな」
ぽつりと彼がつぶやいた。心の中で、わたくしも賛同する。並んで歩く彼に視線を向けると、ぱちっと視線が交わった。そして、「災難だったなぁ」と声をかけられた。
「そうね」
「他人事のように聞こえるなぁ」
「それは、もう少しすればわかると思いますわ」
くすりと笑みを浮かべてみせると、彼は小さくうなずいた。屋上へ足を進め、クロエを待った。屋上はあまり人がこないから、待ち合わせにぴったりだと思うわ。
「すみません、お待たせしました」
クロエにも、昼休みに『放課後、屋上で』と伝えていたから、ここまで来てくれた。
わたくし、レグルスさま、クロエの三人を囲うように魔法を発動させた。念には念を、とよく言うでしょう? この魔法は防音の効果がある魔法だ。内緒話をするのに、ぴったりなのよね。
「さて、レグルスさま。わたくしに興味がありまして?」
「……ああ。きみの身体と、魂が釣り合っていないように見えたから」
――この人、そういうことも見えるのね。クロエが息を呑んでわたくしを見た。わたくしは彼女に向けて微笑みを浮かべ、レグルスさまを真っ直ぐに見据えて口を開く。
「階段から落ちた『マーセル』とぶつかったら、中身が入れ替わってしまったの」