〜Midnight Eden〜 episode3.【夏霞】
 江東区看護師殺人事件の次は、死体なきインスタグラマー殺人事件。こちらの犯人は男でした。
女を飾り立てたアートのための殺人とアートに隠された真犯人の犯行動機。

 美夜が結婚式で受け取った向日葵《ひまわり》のブーケ、美容室の鈴蘭のドライフラワー、死体を飾り付ける造花の金魚草、鎌倉の夏木家別邸に植えてある百日紅《さるすべり》、愛佳のインスタのユーザーネームの夕顔、伶と愛佳が出掛けたアクアドリームのプリザーブドフラワー、ムゲットの店名の由来……。

今回のキーアイテムは「花」です。

結婚式の花嫁さんのブーケとしても人気のある鈴蘭ですが、鈴蘭の毒はフィクションネタではなく、“本当に”人や動物を殺せてしまう毒性があるので注意が必要です。あの青酸カリよりも猛毒です。

 鈴蘭の愛らしい見た目に反した毒性は、人の二面性の部分を暗に含ませています。この表と裏の二面性は理世、愛佳、祐実、小夏にも通じますね。

 メインテーマがSNSなら裏テーマは家族。
本作には美夜の母親、愁の母親、伶と舞の母親の話がそれぞれ出てきました。

愁の母親は……木の下に……う、埋まってる……!?
愁は重くて暗いもの抱えています。重すぎて私も、愁のバックグラウンドに思いを馳せると溜息しか出ません(〃´o`)=3

 小夏の殺害でとうとう復讐代行人“エイジェント”の正体が明らかになりましたね。

エイジェントが殺人を行う場面は、ep3【夏霞】が初出しです。エイジェント=伶だと指し示す伏線はep1【春雷】から小出ししているので、正体に気付いていた読者さんもいるかな?

 エピローグで愛佳が呟く「ばいばい小夏」は自分で書いておきながらゾゾゾッと鳥肌が立ちました。目障りな人間はこの世から消してしまえ思考。
愛佳の本性は怖い……。

Act1で理世に殺された看護師の下山祐実にも、誰も知らない裏の顔がありました。彼女がエイジェントアプリを使用する場面で明らかになる密かな殺意。
祐実がエイジェントに誰の殺害を依頼したかは、お読みいただいた方にはわかりますね。

 本作には狂った女もいれば酷い男もいます。でもそれはきっと、誰もが内に潜めている裏の顔でもあるんだと思っています。

 冒頭の理世と香乃の悪口大会、理世と祐実の水面下で繰り広げられる女の戦い、
愛佳と小夏の上っ面な友情、藍川と深井の嫉妬と優越感にまみれた友情、
藍川と理世のすれ違いの両片想い……これ等はおそらくこの世界のどこかで存在している。

あ~こういう男も女も確かにいる!とフィクションに漂うリアリティーを感じ取っていただければ。
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