女神は天秤を傾ける

37 突然のひらめき

 目を閉じて、必死に考える。

 自然でいて、かつ不自然なもの。

 私が時間を戻っていることを覚られないように。



 私はいまは女の子(・・・)、だから。

 思春期と呼ばれるこの時期なら、多少のことは突拍子なくても大丈夫なんじゃないだろうか。

 ものすごく突っ込まれたら、それを武器にしてしまえないかしら。

 

 通じるかわからなけど。




「おい」



 考えているのに、沈黙にいらだったイリの声が邪魔する。



「黙ってて、いま説明できるように思い出してるの」



 私の邪魔をしないで、いま思いつくから。

 なにか、なにかないかな。

 ここに来るまで色々考えていたけど、出せなかった答えだから、当たり前だけどすぐ出てこない。

 だからと言って、このまま「私は能力者です」みたいな空気で目を閉じているわけにもいかない。



 あぁ、ここにクリアリがいたら天秤に縋れるのに。



 私がここで回避しないと、人が死ぬ。

 知らない人も、大切な人も。



 リーディア、私にすべてがかかってるのよ。

 私なら、できるのよ。



「リーディアはきっと大丈夫。私にはわかるの」

 そう言って、大事な時(いつも)に励ましてくれたキリカを泣かせないためにも。




 キリカ……。

 キリカの顔が浮かんだ時に、あの時キリカが持っていた本の表紙をなぜか強く思い出した。

 なぜあの本?

 面白いわよ、と私にも貸してくれた。

 深い緑に染められた皮に、金の箔押しが美しかったあの(おとぎ話)

 たしかに面白かったけれど……あ。



 キリカ、キリカ、ありがとう!

 あの本に出てきた、あれなら噴火級の災いだわ!
< 37 / 47 >

この作品をシェア

pagetop