12月のヒーロー
40代後半になっている会社員のミチユキは、少し、内気なところがあった。そして、いつも色んな話をしたいのだが、言えず、悶々としている。それで、周りからは、「よくそんな性格で、会社勤めができるなぁ」と言われている。

 2024年12月11日。

 ここは、山形県蔵王温泉。

 今日は、会社の社内旅行で、バスで、みんなとやってきた。ミチユキは、東京の池袋の食品メーカーの社員だが、もう、勤めて10年が経過する。

 東京駅から東北新幹線やまびこ、で、みんなとやって来て、今、スキー場にいる。

 いや、本当は、ミチユキは、運動神経は良いのだが、あまり、みんなとうまく話ができていた。

 それは、この間、プライベートで、彼女と口論になって、別れたからとしか言えない。

 ただ、ミチユキは、学生時代、200m走が、早かった。

 それで、運動会の時、1位をとって、「友山も、彼女に告白したらどうだ?」「何なら、代わりにオレが言おうか」と言われたが、それすら言えず、今に至っている。そして、同僚の間では、「友山ミチユキさんて、暗いね」なんてよく陰口を言われていた。

 「ああ、オレもヒーローになれないか」とも思っていた。

 そして、憧れの彼女、フユミが、そこにいたが、一向に口が利けなかった。そう、前に、会社のコピーを取ろうとしていて、廊下で滑って、フユミの胸を触って、フユミは、「セクハラだ」と言って、怒られていた。

 ああ、なんて駄目な男なんだろうか、とミチユキは、思ったいた。

 会社で、なかなか、仕事ができず、そして、自分より年下の男性が、上司になっている。

 そして、フユミの前では、胸を触って失態をさらす。

 更には、カラオケ大会では、音痴で、いきものがかり『YELL』とか、難しい歌を歌っても、「音痴」と言われて凹む。

 もう逃げ場所なんてなかった。

 フユミは、女子社員やスキーを滑る違うグループへ行った。

「ああ、オレは、また、こうして相手にされないのだろうか?」

 とうじうじしていた。

 しかし、その時、フユミは、「スキー初心者」のグループに入っていた。

 ところが、ミチユキは、スキーを滑るために、ゲレンデの上まで、着替えたら、山の上まで上がった。

 ミチユキは、準備体操をしてから、そのまま、上まで行ったが、「本当は、初心者へ行った方が良かったのか」とも思った。

 ただ、ミチユキは、高校生の時、スキーを滑ることを教わったら、すぐに滑っていた。 

 そして、上からシュッとスキーを滑ってみた。

 気持ち良かった。

 ところどころ、カーブして曲がったのだが、滑った。

 滑って終わったら、そこには、フユミが、ぼっとミチユキを観ていた。

「凄いじゃん」

 と、フユミは、言った。

「また、後で、スキーを滑るコツを教えて」と言った。

 数日が経って、旅行が終わってから、ミチユキとフユミは、付き合いが始まったらしい。(完)

 
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