冷酷社長な旦那様が「君のためなら死ねる」と言い出しました~ヤンデレ御曹司の激重愛~
 他の男性の連絡先を知っていること、独占欲の強い桐人さんからしたら嫌だよね。主治医だったから教えてもらっていただけだし、今の会話も特にやましいものではないのに、なぜか内心どぎまぎしてしまう。

 ちらりと桐人さんを見上げると、彼はクールな表情のまま腰を抱く手にぐっと力を入れて口を開く。

「では、私たちはこれで」
「ええ。お大事に」

 蘭先生は私に向かってにこりと微笑む。さっさと帰ろうとする桐人さんに身体の向きを変えられた私は、慌ただしくぺこりと会釈だけして歩き出した。

 固定されたおかげでだいぶ歩きやすくなった足で、再びタクシーに乗り込み、今度こそマンションへ向かう。車内ではいつになく口数が少ないので、ちょっぴり寂しくて会話の糸口を探す。

「まさか蘭先生に再会するとは、びっくりしました。四年ぶりなんですよ」
「当時から親しかったんだな。空気感でわかる」

 明るく話し出したものの、桐人さんは視線を前方に向けたまま淡々とそう言った。私を責めるでも、イライラした調子でもないけれど、男女として仲がいいと誤解されたくはない。

「そんなに特別親しかったわけじゃないですよ。先生、あんな調子で女子には皆に優しいから」

 看護師さんとの浮いた噂もあったけれど、彼を嫌う人はいなさそうだったし患者にも人気だった。私だけが特別なわけじゃない。

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