距離感ゼロ 〜副社長と私の恋の攻防戦〜
「お待たせ。行こうか」
「はい」
電話を終えた翔が振り返り、芹奈と村尾は立ち上がる。
エレベーターに乗ると、村尾は車を回してくるからと、駐車場がある地下1階のボタンを押した。
芹奈と翔は1階で下り、ロビーを横切ってエントランスに向かう。
が、女性社員の目が一気に翔に集まり、芹奈はハッとして急いで後ろに下がった。
「今日って、お台場と豊洲だよな?どっちから回る……って、あれ?何やってんの?」
芹奈が隣にいないのに気づいた翔が、振り返って立ち止まる。
ピタリと芹奈も足を止めた。
「副社長、5メートル離れてください」
「は?なんで?」
「なんでと言われましても、かくかくしかじかで」
「何を訳の分からないこと言ってんだ?」
そう言って翔は芹奈に歩み寄る。
「あー!ちょっと、警報が鳴りますよ?」
「何の?」
「女性社員の『それ以上近寄るな!』のサイレンです」
はあー!?と翔はあからさまに不機嫌になった。
「なんだそれ?意味が分からん。とにかく早く来い」
「行きます!行きますから、副社長はそこから動かないでくださいね」
そう言うと芹奈はタタッと小走りで翔を追い抜き、エントランスに出た。
そのまましれっとそっぽを向いてロータリーに佇む。
翔はやれやれとため息をついてから歩き始めた。
「はい」
電話を終えた翔が振り返り、芹奈と村尾は立ち上がる。
エレベーターに乗ると、村尾は車を回してくるからと、駐車場がある地下1階のボタンを押した。
芹奈と翔は1階で下り、ロビーを横切ってエントランスに向かう。
が、女性社員の目が一気に翔に集まり、芹奈はハッとして急いで後ろに下がった。
「今日って、お台場と豊洲だよな?どっちから回る……って、あれ?何やってんの?」
芹奈が隣にいないのに気づいた翔が、振り返って立ち止まる。
ピタリと芹奈も足を止めた。
「副社長、5メートル離れてください」
「は?なんで?」
「なんでと言われましても、かくかくしかじかで」
「何を訳の分からないこと言ってんだ?」
そう言って翔は芹奈に歩み寄る。
「あー!ちょっと、警報が鳴りますよ?」
「何の?」
「女性社員の『それ以上近寄るな!』のサイレンです」
はあー!?と翔はあからさまに不機嫌になった。
「なんだそれ?意味が分からん。とにかく早く来い」
「行きます!行きますから、副社長はそこから動かないでくださいね」
そう言うと芹奈はタタッと小走りで翔を追い抜き、エントランスに出た。
そのまましれっとそっぽを向いてロータリーに佇む。
翔はやれやれとため息をついてから歩き始めた。