距離感ゼロ 〜副社長と私の恋の攻防戦〜
「ごちそうさまでした。とても美味しかったです」
「どういたしまして」
朝食を食べ終えると、芹奈は腕時計に目を落とす。
「副社長。チェックアウトは何時ですか?10時なら、そろそろ出ないと」
「ん?いや、もうひと晩部屋を押さえてあるんだ。だから大丈夫」
「そうでしたか。では今夜もここに?」
「ああ。せっかくみなとみらいまで来たし、この周辺をもう一度視察しておきたくて」
「そうなんですね。休みの日までお仕事されて、大丈夫ですか?」
彼女とデートした方が……と言おうとして、芹奈は思いとどまった。
(秘書がプライベートなことまで口出ししちゃいけないわよね)
うん、と己に頷くと、芹奈は改めて翔に向き合った。
「副社長。今回も大変お世話になりました。何から何まで、本当にありがとうございます」
「いや、気にしないで。それより君はこれからどうするの?」
「電車で帰ります」
「そう……」
なぜだか寂しげにうつむく翔に、芹奈はどうしたのかと首をひねる。
「副社長、どうかなさいましたか?」
「あ、いや。何でもない」
「そうですか。これから視察に行かれるんですよね。今日はどちらに?」
「そうだな……。今まで君と村尾と三人で見て回るのに慣れてたから、自分一人だとすぐには思いつかないな」
でしたら、と芹奈は自分のバッグから書類ケースを取り出した。
「前回の視察の時の資料がこちらです。あの日は平日でしたから、今日は休日の様子をご覧になってはいかがでしょう?この住宅展示場は定休日で行けませんでしたし、こちらのショッピングモールは、前回時間がなくて回り切れませんでした」
「なるほど、そうだな。このショッピングモールって、前に君が話してた人気ショップが入ってたんだっけ?」
「はい。韓国コスメのお店と、ハワイの有名なパンケーキのお店と、あとは休日限定のランチメニューがあるのがここのカフェで……」
説明しながら顔を上げると、翔は何とも複雑な表情をしている。
「副社長?大丈夫ですか?」
「いや、うん。男一人でどうやって回ろうかと思って……」
「あ、確かに」
コスメのお店もパンケーキも、男性一人だとハードルが高そうだ。
「えっと、副社長。ご迷惑でなければ、私もご一緒しましょうか?」
「えっ、いいのか?」
「はい。私も早くプロジェクトの為の資料を仕上げたいと思っていましたから」
「助かるよ。あ、でも休日なのに仕事なんて……」
「いえ、大丈夫です。普段、副社長には散々お世話になっていますし、これくらいさせてください」
すると翔は、嬉しそうな笑顔を浮かべた。
「ありがとう。お言葉に甘えてもいいかな?」
「はい、もちろんです」
芹奈も笑顔で答える。
二人は早速、街へと繰り出した。
「どういたしまして」
朝食を食べ終えると、芹奈は腕時計に目を落とす。
「副社長。チェックアウトは何時ですか?10時なら、そろそろ出ないと」
「ん?いや、もうひと晩部屋を押さえてあるんだ。だから大丈夫」
「そうでしたか。では今夜もここに?」
「ああ。せっかくみなとみらいまで来たし、この周辺をもう一度視察しておきたくて」
「そうなんですね。休みの日までお仕事されて、大丈夫ですか?」
彼女とデートした方が……と言おうとして、芹奈は思いとどまった。
(秘書がプライベートなことまで口出ししちゃいけないわよね)
うん、と己に頷くと、芹奈は改めて翔に向き合った。
「副社長。今回も大変お世話になりました。何から何まで、本当にありがとうございます」
「いや、気にしないで。それより君はこれからどうするの?」
「電車で帰ります」
「そう……」
なぜだか寂しげにうつむく翔に、芹奈はどうしたのかと首をひねる。
「副社長、どうかなさいましたか?」
「あ、いや。何でもない」
「そうですか。これから視察に行かれるんですよね。今日はどちらに?」
「そうだな……。今まで君と村尾と三人で見て回るのに慣れてたから、自分一人だとすぐには思いつかないな」
でしたら、と芹奈は自分のバッグから書類ケースを取り出した。
「前回の視察の時の資料がこちらです。あの日は平日でしたから、今日は休日の様子をご覧になってはいかがでしょう?この住宅展示場は定休日で行けませんでしたし、こちらのショッピングモールは、前回時間がなくて回り切れませんでした」
「なるほど、そうだな。このショッピングモールって、前に君が話してた人気ショップが入ってたんだっけ?」
「はい。韓国コスメのお店と、ハワイの有名なパンケーキのお店と、あとは休日限定のランチメニューがあるのがここのカフェで……」
説明しながら顔を上げると、翔は何とも複雑な表情をしている。
「副社長?大丈夫ですか?」
「いや、うん。男一人でどうやって回ろうかと思って……」
「あ、確かに」
コスメのお店もパンケーキも、男性一人だとハードルが高そうだ。
「えっと、副社長。ご迷惑でなければ、私もご一緒しましょうか?」
「えっ、いいのか?」
「はい。私も早くプロジェクトの為の資料を仕上げたいと思っていましたから」
「助かるよ。あ、でも休日なのに仕事なんて……」
「いえ、大丈夫です。普段、副社長には散々お世話になっていますし、これくらいさせてください」
すると翔は、嬉しそうな笑顔を浮かべた。
「ありがとう。お言葉に甘えてもいいかな?」
「はい、もちろんです」
芹奈も笑顔で答える。
二人は早速、街へと繰り出した。