本日、私の大好きな幼馴染が大切な姉と結婚式を挙げます ~side story ~
川口直人 39
午後6時半――
「すみません、お先に失礼しますっ!」
職場を急いで出ようとすると先輩に呼び止められた。
「おい、川口。今夜飲みに行かないか?」
「3人で飲みに行こうぜ」
別の先輩が声をかけてくる。
「すみません、用事があるので」
すると最初に声をかけてきた先輩が肩に手を回してきた。
「そうか~やっぱ女か? お前彼女が出来たんだな?」
「へぇ~どんな彼女だよ。写メとか無いのか?」
「いえ、彼女じゃありません。絶賛片思い中です」
正直に答えた。
「えっ!? そうなのか? 告白とかしたのか?」
「そこは御想像にお任せします。それでは急ぐので失礼しますっ!」
先輩達が騒ぐ声を背中に聞きながら俺は会社を後にした。
「加藤さん……電話に出てくれるかな……?」
一刻も早く声が聞きたい。
気付けばスマホをタップしていた――
4コール目で加藤さんが電話に出た。
『もしもし?』
「あ、もしもし? もう仕事終わったんだよね?」
『うん、そうだよ。あのね、今職場の人と一緒に帰っている所だから……また後で電話入れるね』
「あ、そうなんだ。分った。電話……待ってるよ」
『うん、それじゃあね』
それだけで電話はすぐに切れた。
「ひょっとして職場の人って……男だったのか……?」
気付けばポツリと呟いていた――
****
マンションへ着くと、急いでシャワーを浴びるとバスルームを出た。バスタオルで身体を拭いて髪をタオルでゴシゴシふくと急いで着がえをして部屋に戻ると、タイミングよくスマホが鳴った。相手は……勿論加藤さんだ。
「もしもし?」
『もしもし、さっきはごめんね』
スマホから加藤さんの綺麗な声が聞こえてくる。
「いや、いいよ。それで今は何所なの?」
『駅のホームだよ。これから電車に乗って帰る処』
「どのくらいでこっちに着きそうかな?」
『う~ん30分位かな……』
30分か……遅くなりそうだな……。
「なら迎えに行くよ」
『え? ええっ!? い、いいよ……そんな別に。悪いよ。だって川口さんはもう家に帰っているんでしょう?』
「うん……でも1人で帰らせるのが心配なんだ。それに……加藤さんに会いたいし」
もうこれからは自分の素直な気持を加藤さんに打ち明ける事にした。しかし、加藤さんは無反応だ。……少し不安になってきた。
「もしもし? 加藤さん? どうかした?」
『う、ううん。何でもない……あ、それじゃ電車来たから……一度切るね』
「それじゃ駅で待ってるから」
『う、うん。それじゃまた』
そして電話が切れた。
「さて、迎えに行くか」
戸締りをすると、加藤さんを迎えに駅へと向かった――
****
加藤さんが現れるのを改札で待っていた。駅の改札での待ち合わせ……。こうしているとまるで本物の恋人同士になったような錯覚を起こしてしまう。けれど実際は俺と彼女はたんなるご近所さんの友達でしかない。その事実が少しだけ虚しさを感じる。
どうすれば加藤さんは俺の気持ちを受け入れてくれるのだろうか……。思わずため息をついたとき、改札に彼女の姿を発見した。
「お帰り、加藤さん」
「あ……た、ただいま」
その時、加藤さんの頬が薄っすら赤く染まってることに気が付いた。
ひょっとするとまだ希望はあるのだろうか? 加藤さんに好意を寄せている気持ちを素直に伝え続けていれば、いつかは……?
甘い期待に胸を膨らませた――
「すみません、お先に失礼しますっ!」
職場を急いで出ようとすると先輩に呼び止められた。
「おい、川口。今夜飲みに行かないか?」
「3人で飲みに行こうぜ」
別の先輩が声をかけてくる。
「すみません、用事があるので」
すると最初に声をかけてきた先輩が肩に手を回してきた。
「そうか~やっぱ女か? お前彼女が出来たんだな?」
「へぇ~どんな彼女だよ。写メとか無いのか?」
「いえ、彼女じゃありません。絶賛片思い中です」
正直に答えた。
「えっ!? そうなのか? 告白とかしたのか?」
「そこは御想像にお任せします。それでは急ぐので失礼しますっ!」
先輩達が騒ぐ声を背中に聞きながら俺は会社を後にした。
「加藤さん……電話に出てくれるかな……?」
一刻も早く声が聞きたい。
気付けばスマホをタップしていた――
4コール目で加藤さんが電話に出た。
『もしもし?』
「あ、もしもし? もう仕事終わったんだよね?」
『うん、そうだよ。あのね、今職場の人と一緒に帰っている所だから……また後で電話入れるね』
「あ、そうなんだ。分った。電話……待ってるよ」
『うん、それじゃあね』
それだけで電話はすぐに切れた。
「ひょっとして職場の人って……男だったのか……?」
気付けばポツリと呟いていた――
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マンションへ着くと、急いでシャワーを浴びるとバスルームを出た。バスタオルで身体を拭いて髪をタオルでゴシゴシふくと急いで着がえをして部屋に戻ると、タイミングよくスマホが鳴った。相手は……勿論加藤さんだ。
「もしもし?」
『もしもし、さっきはごめんね』
スマホから加藤さんの綺麗な声が聞こえてくる。
「いや、いいよ。それで今は何所なの?」
『駅のホームだよ。これから電車に乗って帰る処』
「どのくらいでこっちに着きそうかな?」
『う~ん30分位かな……』
30分か……遅くなりそうだな……。
「なら迎えに行くよ」
『え? ええっ!? い、いいよ……そんな別に。悪いよ。だって川口さんはもう家に帰っているんでしょう?』
「うん……でも1人で帰らせるのが心配なんだ。それに……加藤さんに会いたいし」
もうこれからは自分の素直な気持を加藤さんに打ち明ける事にした。しかし、加藤さんは無反応だ。……少し不安になってきた。
「もしもし? 加藤さん? どうかした?」
『う、ううん。何でもない……あ、それじゃ電車来たから……一度切るね』
「それじゃ駅で待ってるから」
『う、うん。それじゃまた』
そして電話が切れた。
「さて、迎えに行くか」
戸締りをすると、加藤さんを迎えに駅へと向かった――
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加藤さんが現れるのを改札で待っていた。駅の改札での待ち合わせ……。こうしているとまるで本物の恋人同士になったような錯覚を起こしてしまう。けれど実際は俺と彼女はたんなるご近所さんの友達でしかない。その事実が少しだけ虚しさを感じる。
どうすれば加藤さんは俺の気持ちを受け入れてくれるのだろうか……。思わずため息をついたとき、改札に彼女の姿を発見した。
「お帰り、加藤さん」
「あ……た、ただいま」
その時、加藤さんの頬が薄っすら赤く染まってることに気が付いた。
ひょっとするとまだ希望はあるのだろうか? 加藤さんに好意を寄せている気持ちを素直に伝え続けていれば、いつかは……?
甘い期待に胸を膨らませた――