本日、私の大好きな幼馴染が大切な姉と結婚式を挙げます ~side story ~
亮平 13
一目男を見た時からピンと来た。間違いない。こいつ、確実に鈴音に惚れている。男は始めから俺を挑戦的な目で見ていたからだ。それにしても……何もかもが気に入らなかった。鈴音の隣に立っているのも気に入らなかったし、俺よりも背が高い事、それにまるで芸能人のような顔立ち……。
その全てに引け目を感じてしまう。鈴音はああいうタイプの男が好みなのか?
折角、今日は楽しい気持ちで鈴音と一緒に過ごせるかと思っていたのに、気付けば心がざわめいている。そして再び、俺の口は自分の意思とは無関係に鈴音を激しく罵っていた――
****
結局鈴音は男と電車に乗って出かけてしまった。俺はやり場のない怒りを感じつつ、家へ帰って来ると部屋に閉じこもりベッドの上に寝転がった。
何度も何度も忍からメールや電話がかかってきたが……今日の俺はそれらを一切無視していた。頭の中によぎるのはあいつと楽しそうにデートをしている鈴音の姿だった。
「……くそっ! 鈴音の奴……! 幼馴染の俺より、男とのデートを優先するのかよ! 俺との約束は断ったくせに……」
駄目だ、余計に気がめいってきた。起き上がると上着を着て、財布をポケットに突っ込み、駅前のゲーセンに出かけた。ポケットの中では相変わらずうるさくスマホが鳴り響いていたので、ついに電源を切ってやった。……これでもう着信が鳴ることは無いだろう。
そしてダラダラと歩きながら駅を目指した――
****
「そろそろ日が暮れてくる頃だな……」
駅前のカフェでコーヒーを飲みながら外を眺めると、空はすっかりオレンジ色に染まっている。鈴音はまだあの男とデートを楽しんでいるのだろうか……? それとも今夜はあの男と何処かに宿泊するつもりかっ!?
途端に頭の中で、鈴音があの男と裸で絡み合っている姿が脳裏に浮かんできてしまう。
「いや、違う! 絶対そんなはずあるものか!」
激しく首を振り、ポケットからスマホを取り出して電源を入れた。こうなったら鈴音があの男の毒牙にかかる前に電話しなければ!
しかしスマホの画面を目にした次の瞬間、心臓が凍り付きそうになった。何故ならスマホに忍からの着信履歴が大量に届いていたからだ。ざっと数えてみた処、メールだけでも50件以上は届いている。電話に関してはそれ以上だったが、午後3時以降は1度も連絡が入っていない。
「な、何なんだ……?」
忍に何処か狂気じみたものを感じ、心臓がバクバクいいはじめた。ひょっして俺は……踏み込んではいけない領域にまで足を入れてしまったのだろうか……?
「ご、ごめん……忍。今はお前の相手をしている場合じゃないんだ……」
俺はスマホをタップした――
****
10分後――
「ふぅ~」
俺は穏やかな気持ちで2杯目のコーヒーを飲み、窓ガラスに映る自分の姿を見た。その顔はだらしなく笑っていた。
「……ッ!」
途端に恥ずかしくなり、口元を隠して窓から視線を逸らせる。結局あの後鈴音は電話に出てくれた。そしていつもの軽口を互いに叩き合った後、俺はどさくさに紛れて鈴音と会う約束を強引に取り付けた。朝9時に鈴音の部屋へ行くと宣言したのだ。電話越しからは明らかに拒否する鈴音の声が聞こえてきたが構うものか。俺達は20年来の付き合い、家族みたいなものなのだから。
鈴音が文句を言っているにも関わらず俺は電話を切った。
「鈴音の奴……驚いただろうし、怒ってもいるだろうな……」
だが、大丈夫だ。
鈴音は心が優しい。だから結局何だかんだ言いながらも俺を受け入れてくれるのだ。
そうだ……母さんに鈴音のマンションへ行く事を話して何か料理を作ってもらおう。
「よし、帰るか」
俺は席を立ち、支払いを済ませるとカフェを出て家路を目指した――
その全てに引け目を感じてしまう。鈴音はああいうタイプの男が好みなのか?
折角、今日は楽しい気持ちで鈴音と一緒に過ごせるかと思っていたのに、気付けば心がざわめいている。そして再び、俺の口は自分の意思とは無関係に鈴音を激しく罵っていた――
****
結局鈴音は男と電車に乗って出かけてしまった。俺はやり場のない怒りを感じつつ、家へ帰って来ると部屋に閉じこもりベッドの上に寝転がった。
何度も何度も忍からメールや電話がかかってきたが……今日の俺はそれらを一切無視していた。頭の中によぎるのはあいつと楽しそうにデートをしている鈴音の姿だった。
「……くそっ! 鈴音の奴……! 幼馴染の俺より、男とのデートを優先するのかよ! 俺との約束は断ったくせに……」
駄目だ、余計に気がめいってきた。起き上がると上着を着て、財布をポケットに突っ込み、駅前のゲーセンに出かけた。ポケットの中では相変わらずうるさくスマホが鳴り響いていたので、ついに電源を切ってやった。……これでもう着信が鳴ることは無いだろう。
そしてダラダラと歩きながら駅を目指した――
****
「そろそろ日が暮れてくる頃だな……」
駅前のカフェでコーヒーを飲みながら外を眺めると、空はすっかりオレンジ色に染まっている。鈴音はまだあの男とデートを楽しんでいるのだろうか……? それとも今夜はあの男と何処かに宿泊するつもりかっ!?
途端に頭の中で、鈴音があの男と裸で絡み合っている姿が脳裏に浮かんできてしまう。
「いや、違う! 絶対そんなはずあるものか!」
激しく首を振り、ポケットからスマホを取り出して電源を入れた。こうなったら鈴音があの男の毒牙にかかる前に電話しなければ!
しかしスマホの画面を目にした次の瞬間、心臓が凍り付きそうになった。何故ならスマホに忍からの着信履歴が大量に届いていたからだ。ざっと数えてみた処、メールだけでも50件以上は届いている。電話に関してはそれ以上だったが、午後3時以降は1度も連絡が入っていない。
「な、何なんだ……?」
忍に何処か狂気じみたものを感じ、心臓がバクバクいいはじめた。ひょっして俺は……踏み込んではいけない領域にまで足を入れてしまったのだろうか……?
「ご、ごめん……忍。今はお前の相手をしている場合じゃないんだ……」
俺はスマホをタップした――
****
10分後――
「ふぅ~」
俺は穏やかな気持ちで2杯目のコーヒーを飲み、窓ガラスに映る自分の姿を見た。その顔はだらしなく笑っていた。
「……ッ!」
途端に恥ずかしくなり、口元を隠して窓から視線を逸らせる。結局あの後鈴音は電話に出てくれた。そしていつもの軽口を互いに叩き合った後、俺はどさくさに紛れて鈴音と会う約束を強引に取り付けた。朝9時に鈴音の部屋へ行くと宣言したのだ。電話越しからは明らかに拒否する鈴音の声が聞こえてきたが構うものか。俺達は20年来の付き合い、家族みたいなものなのだから。
鈴音が文句を言っているにも関わらず俺は電話を切った。
「鈴音の奴……驚いただろうし、怒ってもいるだろうな……」
だが、大丈夫だ。
鈴音は心が優しい。だから結局何だかんだ言いながらも俺を受け入れてくれるのだ。
そうだ……母さんに鈴音のマンションへ行く事を話して何か料理を作ってもらおう。
「よし、帰るか」
俺は席を立ち、支払いを済ませるとカフェを出て家路を目指した――