本日、私の大好きな幼馴染が大切な姉と結婚式を挙げます ~side story ~
亮平 32
駅の改札で鈴音が待っている。……久しぶりだ。もう何年も会っていない気がする。
俺は自分の顔がにやけていることに気付き、ぱちんと頬を叩いた。駄目だ、しっかろしろ。これはデートなんかじゃない。これから俺は残酷な現実を鈴音に突きつけなくちゃならないのだから。深呼吸して息を整えると俺は鈴音に近寄った。
「久しぶりだな、鈴音」
「亮……平……?」
鈴音は驚いた顔で俺を振り返った。
「な、何で亮平がここに?」
そりゃそうだろうな。鈴音は忍が来ると思っていたんだから。でも、そんな話はどうでもいい。
「イタリアンレストランの店を予約してあるんだ。そこへ行こう」
「え!? イタリアンッ!?」
目を見開く鈴音。あぁ……何て可愛いんだ。思わず顔が赤面しそうになり、それを誤魔化す為に俺は鈴音に背を向けるとさっさと歩きだした。
「ね、ねえ! 待ってよ亮平!」
鈴音が俺の後ろを追って来る。……これくらい、いいだろう。俺は追っかけて来た鈴音の右手を握りしめた。
「え? ちょ、ちょっと! 離してよ!」
鈴音の拒絶する態度に少し傷つきながらも、俺は黙って今夜の為に予約した高級イタリアンレストランへ連れて行った。
****
「ねえ、亮平。一体これはどういう事なの? どうしてお姉ちゃんとの待ち合わせ場所に亮平が来ていたの? お姉ちゃんはどうなったの?」
席に着くなり、早速鈴音の質問攻めにあった。少しくらいデート気分を味わいたいのに、鈴音はそんな心境じゃないようだ。まぁ、無理も無いか。とりあえず俺は鈴音に食事をしながら話そうと言うと、鈴音はようやく頷いてくれた。
鈴音と会話しながら、思った。やっぱり鈴音は以前よりもずっと美人になっていた。その証拠に周りにいる男たちが鈴音の事をチラチラと盗み見していやがる。俺が一緒にいるのに、悪いとは思わないのか? 俺が彼氏だとは考えてもいないのか?
お前がそんなに綺麗になったのは川口が影響しているのか?
「鈴音……ちょっと見ない間に変わったな。なんて言うか……うん、綺麗になったな」
気付けば、無意識に思っていたことを口に出していた。
「え?」
鈴音が一瞬、驚きの表情を浮かべる。くそっ……川口め……鈴音がいながらよくも浮気を……。川口に対するどうしようもない嫉妬がフツフツと込み上げてくる。
「やっぱりお前を変えたのはあいつか? 川口がお前を変えたのか? だがな、あいつは……あいつは駄目だ! お前を不幸にするだけだ!」
すると鈴音は川口を擁護するいい方をした。
「ね、ねえ何言ってるの? どうして亮平が直人さんの事をそんな言い方するの? それにお姉ちゃんが今日来るんじゃなかったの?」
やめろ! 川口は庇うなよ! 俺は喉までその言葉が出かかった。だが折角高級イタリアンの店に来てるんだ。せめて食事の時くらいはデート気分を味わいたかった。
やがて食事が運ばれてきて、俺と鈴音は食事を始めながら、何気ない会話をした。そうだ、これから話をするには食事の時間よりも何かアルコールでも飲まなきゃ、まともに話せるはずじゃないのだから。気付けば、俺はガツガツとピッチを上げて料理を平らげていた――
「あー美味かった」
急いで食べたから正直、味なんか分らなかったが鈴音の手前俺は満足げに言った。
「嘘!? もう食べ終わったの?」
鈴音が驚いたように俺を見る。
「ああ、鈴音はまだ半分位しか食べ終えていないのか? まあいい、俺に気にせずにゆっくり食べろよ。ワインでも飲んで待ってるから」
ワインは俺しか飲まないからな……出来れば一緒に飲みたかったけど。俺は自分でグラスにワインを注ぎ入れ、仰ぐように一気に飲み干した。
「ふう〜…」
ワイングラスをテーブルの上に置くと、俺は鈴音の様子を窺うように尋ねた
「鈴音、最近川口と会ってるか?」
「え?」
鈴音の顔色が変わるのを……見過ごさなかった――
俺は自分の顔がにやけていることに気付き、ぱちんと頬を叩いた。駄目だ、しっかろしろ。これはデートなんかじゃない。これから俺は残酷な現実を鈴音に突きつけなくちゃならないのだから。深呼吸して息を整えると俺は鈴音に近寄った。
「久しぶりだな、鈴音」
「亮……平……?」
鈴音は驚いた顔で俺を振り返った。
「な、何で亮平がここに?」
そりゃそうだろうな。鈴音は忍が来ると思っていたんだから。でも、そんな話はどうでもいい。
「イタリアンレストランの店を予約してあるんだ。そこへ行こう」
「え!? イタリアンッ!?」
目を見開く鈴音。あぁ……何て可愛いんだ。思わず顔が赤面しそうになり、それを誤魔化す為に俺は鈴音に背を向けるとさっさと歩きだした。
「ね、ねえ! 待ってよ亮平!」
鈴音が俺の後ろを追って来る。……これくらい、いいだろう。俺は追っかけて来た鈴音の右手を握りしめた。
「え? ちょ、ちょっと! 離してよ!」
鈴音の拒絶する態度に少し傷つきながらも、俺は黙って今夜の為に予約した高級イタリアンレストランへ連れて行った。
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「ねえ、亮平。一体これはどういう事なの? どうしてお姉ちゃんとの待ち合わせ場所に亮平が来ていたの? お姉ちゃんはどうなったの?」
席に着くなり、早速鈴音の質問攻めにあった。少しくらいデート気分を味わいたいのに、鈴音はそんな心境じゃないようだ。まぁ、無理も無いか。とりあえず俺は鈴音に食事をしながら話そうと言うと、鈴音はようやく頷いてくれた。
鈴音と会話しながら、思った。やっぱり鈴音は以前よりもずっと美人になっていた。その証拠に周りにいる男たちが鈴音の事をチラチラと盗み見していやがる。俺が一緒にいるのに、悪いとは思わないのか? 俺が彼氏だとは考えてもいないのか?
お前がそんなに綺麗になったのは川口が影響しているのか?
「鈴音……ちょっと見ない間に変わったな。なんて言うか……うん、綺麗になったな」
気付けば、無意識に思っていたことを口に出していた。
「え?」
鈴音が一瞬、驚きの表情を浮かべる。くそっ……川口め……鈴音がいながらよくも浮気を……。川口に対するどうしようもない嫉妬がフツフツと込み上げてくる。
「やっぱりお前を変えたのはあいつか? 川口がお前を変えたのか? だがな、あいつは……あいつは駄目だ! お前を不幸にするだけだ!」
すると鈴音は川口を擁護するいい方をした。
「ね、ねえ何言ってるの? どうして亮平が直人さんの事をそんな言い方するの? それにお姉ちゃんが今日来るんじゃなかったの?」
やめろ! 川口は庇うなよ! 俺は喉までその言葉が出かかった。だが折角高級イタリアンの店に来てるんだ。せめて食事の時くらいはデート気分を味わいたかった。
やがて食事が運ばれてきて、俺と鈴音は食事を始めながら、何気ない会話をした。そうだ、これから話をするには食事の時間よりも何かアルコールでも飲まなきゃ、まともに話せるはずじゃないのだから。気付けば、俺はガツガツとピッチを上げて料理を平らげていた――
「あー美味かった」
急いで食べたから正直、味なんか分らなかったが鈴音の手前俺は満足げに言った。
「嘘!? もう食べ終わったの?」
鈴音が驚いたように俺を見る。
「ああ、鈴音はまだ半分位しか食べ終えていないのか? まあいい、俺に気にせずにゆっくり食べろよ。ワインでも飲んで待ってるから」
ワインは俺しか飲まないからな……出来れば一緒に飲みたかったけど。俺は自分でグラスにワインを注ぎ入れ、仰ぐように一気に飲み干した。
「ふう〜…」
ワイングラスをテーブルの上に置くと、俺は鈴音の様子を窺うように尋ねた
「鈴音、最近川口と会ってるか?」
「え?」
鈴音の顔色が変わるのを……見過ごさなかった――