本日、私の大好きな幼馴染が大切な姉と結婚式を挙げます ~side story ~
川口直人 28
加藤さんが現れると、俺はすぐに謝罪した。
「本当に……ごめん。いきなりマンションに押し掛けたうえ、突然抱きしめてしまったりして……。驚かせてしまったよね?」
「た、確かに驚いたけど……」
「本当に……悪かったと思っているんだ……」
恋人でもないのに……あんな風に抱きしめてしまうなんて……俺は最低だ。
「う、うん……」
気まずそうに返事をする加藤さん。
「聞いたよ」
「え?」
「酷い交通事故に遭ったって……」
「あ……」
加藤さんの顔に戸惑いの表情が浮かぶ。
「あの日……いくら待っても加藤さんは現れなかったからすごく心配になって悪いとは思ったけどマンションを訪ねたんだ。そしたら何だか様子がおかしい事に気が付いたんだ。郵便受けには名前は載っているのに、ガムテープが張られて入れられないようになっていたし、外からべランドを見れば、電気もついていないで真っ暗だったし……。それが何日も何日も続いて……そんなある日、偶然加藤さんの幼馴染にここでばったり出くわしたんだ。それで俺は彼に問い詰めたんだよ。加藤さんの事を教えてくれって」
気付けば俺は1人で話続けていたが、幼馴染の話に及んだ時に加藤さんが口を開いた。
「亮平に……?」
「お前には関係ないから教える義理は無いって強く突っぱねられたけど加藤さんと焼き鳥屋に行く約束をしていたことを持ちだしたら、ようやく教えてくれたんだよ。加藤さんが交通事故に遭ったって言う話を……」
本当に……あの時の事を思い出すだけで、恐怖で身体が震えそうになってくる。
「そう……だったの……?」
加藤さんが目を見開いて俺を見る。
「布団が干してあったって事は、今日退院したって事なんだよね?」
「う、うん……」
「それで怪我の具合は? 交通事故の後遺症とかは大丈夫だった?」
しかし、そこで我に返った。おれはまた余計な事を……!
「ご、ごめん……。加藤さんのプライバシーの事なのに首を突っ込むような事を尋ねて……」
「べ、別に……気にしないで……」
本当にそう思ってくれているのだろうか?
「でも良かったよ。こうしてまた会えて……」
そして目の前の加藤さんを見る。彼女の髪はすっかり伸びていた。髪の長い彼女もまた、とても魅力的だった。
「髪……伸びたんだね?」
「う、うん……そうだね」
照れくさそうに言う加藤さん。そうだ……この間果たせなかった約束をもう一度、この場でしよう。
「あのさ、加藤さん……っ」
その時――
「あ! またお前かっ!? 性懲りもなく鈴音の前にまた現れたのかっ!?」
まただ、またあの男が俺達の前に現れた。
「りょ、亮平……?」
途惑う加藤さんに近付く男。
「鈴音……良かったな。今日、退院出来たんだな」
「う、うん……」
そして加藤さんはチラリと俺に目をやった。男はそれが気に入らなかったのだろう。険しい顔で俺を睨みつけてきた。
「おいお前、いつまでそうしているつもりだ? 早く自分のマンションに帰れよ」
「亮平、何もそんな言い方しなくても……」
「何だ? お前、あの男を庇うのか? あいつはストーカーみたいなものじゃないか」
「そ、そんな……ストーカーなんて……」
2人のやり取りを黙って聞いていたが、ストーカーという言葉には我慢ならなかった。
「そう言うお前は何だ? 加藤さんの恋人でもあるまいし。どうして彼女に対してまるで彼氏面するんだ?」
そうだ、たかだか幼馴染って言うだけで当然の様に加藤さんにまとわりついているくせに……っ! しかし男は反論する。
「うるさい、俺は鈴音の幼馴染なんだ。お前のように付き合ってもいない男に言われる筋合いはない。ほら、行くぞ。鈴音」
「あ……」
俺が声をかける間もなく、加藤さんは男に連れ去られてしまった。
「加藤さん……」
酷く惨めな気持ちで俺はその場に立ち尽くした――
「本当に……ごめん。いきなりマンションに押し掛けたうえ、突然抱きしめてしまったりして……。驚かせてしまったよね?」
「た、確かに驚いたけど……」
「本当に……悪かったと思っているんだ……」
恋人でもないのに……あんな風に抱きしめてしまうなんて……俺は最低だ。
「う、うん……」
気まずそうに返事をする加藤さん。
「聞いたよ」
「え?」
「酷い交通事故に遭ったって……」
「あ……」
加藤さんの顔に戸惑いの表情が浮かぶ。
「あの日……いくら待っても加藤さんは現れなかったからすごく心配になって悪いとは思ったけどマンションを訪ねたんだ。そしたら何だか様子がおかしい事に気が付いたんだ。郵便受けには名前は載っているのに、ガムテープが張られて入れられないようになっていたし、外からべランドを見れば、電気もついていないで真っ暗だったし……。それが何日も何日も続いて……そんなある日、偶然加藤さんの幼馴染にここでばったり出くわしたんだ。それで俺は彼に問い詰めたんだよ。加藤さんの事を教えてくれって」
気付けば俺は1人で話続けていたが、幼馴染の話に及んだ時に加藤さんが口を開いた。
「亮平に……?」
「お前には関係ないから教える義理は無いって強く突っぱねられたけど加藤さんと焼き鳥屋に行く約束をしていたことを持ちだしたら、ようやく教えてくれたんだよ。加藤さんが交通事故に遭ったって言う話を……」
本当に……あの時の事を思い出すだけで、恐怖で身体が震えそうになってくる。
「そう……だったの……?」
加藤さんが目を見開いて俺を見る。
「布団が干してあったって事は、今日退院したって事なんだよね?」
「う、うん……」
「それで怪我の具合は? 交通事故の後遺症とかは大丈夫だった?」
しかし、そこで我に返った。おれはまた余計な事を……!
「ご、ごめん……。加藤さんのプライバシーの事なのに首を突っ込むような事を尋ねて……」
「べ、別に……気にしないで……」
本当にそう思ってくれているのだろうか?
「でも良かったよ。こうしてまた会えて……」
そして目の前の加藤さんを見る。彼女の髪はすっかり伸びていた。髪の長い彼女もまた、とても魅力的だった。
「髪……伸びたんだね?」
「う、うん……そうだね」
照れくさそうに言う加藤さん。そうだ……この間果たせなかった約束をもう一度、この場でしよう。
「あのさ、加藤さん……っ」
その時――
「あ! またお前かっ!? 性懲りもなく鈴音の前にまた現れたのかっ!?」
まただ、またあの男が俺達の前に現れた。
「りょ、亮平……?」
途惑う加藤さんに近付く男。
「鈴音……良かったな。今日、退院出来たんだな」
「う、うん……」
そして加藤さんはチラリと俺に目をやった。男はそれが気に入らなかったのだろう。険しい顔で俺を睨みつけてきた。
「おいお前、いつまでそうしているつもりだ? 早く自分のマンションに帰れよ」
「亮平、何もそんな言い方しなくても……」
「何だ? お前、あの男を庇うのか? あいつはストーカーみたいなものじゃないか」
「そ、そんな……ストーカーなんて……」
2人のやり取りを黙って聞いていたが、ストーカーという言葉には我慢ならなかった。
「そう言うお前は何だ? 加藤さんの恋人でもあるまいし。どうして彼女に対してまるで彼氏面するんだ?」
そうだ、たかだか幼馴染って言うだけで当然の様に加藤さんにまとわりついているくせに……っ! しかし男は反論する。
「うるさい、俺は鈴音の幼馴染なんだ。お前のように付き合ってもいない男に言われる筋合いはない。ほら、行くぞ。鈴音」
「あ……」
俺が声をかける間もなく、加藤さんは男に連れ去られてしまった。
「加藤さん……」
酷く惨めな気持ちで俺はその場に立ち尽くした――