【完結】失恋したら有名シェフが私を溺愛包囲網で包み込みます。


「あっ、っ……んんっ」

 その扉の向こうにはもう一つベッドがあり、そのベッドで、龍樹と知らない女が身体を激しく重ね合っていた。

「え……?」

 私が見ているとも知らずに、女は大きな胸を揺らしながら、龍樹の下で激しく喘いでいた。
 龍樹は女の中で激しく腰を動かしながら、女の身体をベッドに打ち付けている。

龍樹(たつき)……どういうこと……。待って、なんで……?」

 私が小さく龍樹の名前を口にした時、二人の行為は終わりを迎えたようだった。
 そして女の身体から離れた龍樹は、ドアの隙間越しの私の姿に気付いたのか、驚いたような表情で「え……。と、豊佳(とよか)……!?」と私の名前を呼んだ。

「えっ!? ま、まさか……アンタの彼女!?」

 女は慌てて布団を身体に被り、慌てた様子で私の方を見ている。

「龍樹……これって、どういうこと……?」

「と、豊佳……お前、なんでここにいるんだよ!?」

 龍樹は慌ててボクサーパンツを履き、ドアを開けて私に問いかける。

「龍樹が仕事忙しいって言ってたから、元気付けてあげようと思って、それでシチュー作ってあげようと思って……」

 私はこんな状況を目撃してしまって、頭が真っ白になっていた。
 この状況を、誰かウソだと言ってほしい。ウソだと。

「ねえ、龍樹……その人は、誰……?」

「誰だっていいだろ。豊佳には関係ない」

「関係ないって……。私、彼女だよ?関係なくない!」

 関係ないって……そんなのヒドイ!
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