Summer Love

ごめんな……


目を覚ます。



左に顔を向けるとバルコニーには、花火が写っていた。



ーーーもう、夜中近いんだな。



鳴り響くバンドマン達の演奏。

部屋の静けさに現実という重い空気がのしかかる。




「修先生………大丈夫?」



振り向くと、そこに純奈がいた。




「どうして………お前………」



「皆がここまで運んでくれてたみたい。

私その場にいなかったから、こうして近くにいるしか……」




辺りを見渡す。



俺の部屋であることは、間違いなかった。



「俺は………、俺は………、生きてるのか?」




「………?

生きてるよ。


きっと、疲れて倒れちゃったんだよ」




戸惑う純奈を見てーーー真実は知らないんだと気付いた。



純奈は俺がした事をーーー知らないのだ。




優しい笑顔から………そう確信した。




「俺は………何のために、教師をやって来たんだ……?」



一人で歩けもしない生徒を、歩けるようにする。


生きていける幸せを感じられる教師を夢見てた、なのに……。



「俺は……一人の生徒の「幸せ」を踏みにじったんだ。


トラウマを植え付けた」



「さっきから……、どうしたの?


やっぱり、いないほうがいいの?」




初めて会った、その日から。



俺は教師として導いてやろうなんてたかを括ってたんだ。


生徒達を、彼女を。
< 102 / 124 >

この作品をシェア

pagetop