キラキラ王子様は最強女子にご執心らしい。
ただ、横にいてくれるだけでよかったのに……人間って、強欲なものだ。


叶わない恋だって叶えてしまう力が理人様に……いや、玲奈さんにあったのだから仕方がない。



諦めたいのに、諦めきれない。


あの時、桃色のハンカチが好きだと言ったのは嘘だ。

本当に好きな色は、青色だった。玲奈さんに気持ちを伝えたくて、変な言い方をしてしまった。



もう、ここで働いていたくない。


何も口に入れることができずに、数日が経っていた。



だが、部屋の扉がノックされた。


「……はい……」

「ちずくん!」


目の前には、天使のように明るい微笑みを浮かべた大好きな、もう手に入らない人がいる。



「これ、プレゼント!よかったら受けとって!」

「……?ありがとう、ございます」

「あと痩せちゃったね、よかったらこれ食べて」


渡されたのは何かが入った小さな箱と、料理が詰められたタッパー。


「あ、ありがとう、ございます……」


なんだか、泣きそうになってしまった。



小さい頃、誕生日もクリスマスプレゼントも、何もなかった自分に唯一玲奈さんがくれたのが鳥のキャラクターのキーホルダーだった。

初めてのプレゼントだった。今でも大切に持っている。


「私はちずくんの味方だからね!」


幼い頃も言っていた、全く同じ純粋な笑顔に呪われてしまいそうになりながらも、無理やり笑顔を作って感謝した。

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