果実と恋のバスケット
あいつはオレより明らかに用途が多いもんな、と吐き捨てるようにレモンくんが言う。
外に向けた刺々しさがない、自分に棘を向けているような彼の言葉に、私は何も言えなくなってしまう。
レモンくんはやっと私の存在に気づいたみたいに私を見て、「いい加減、早く進めろ」とぶっきらぼうにいう。
その表情には、さっきのような苦みはなかった。
私は少し引っかかりを覚えながらも、生地に向き直る。
「うん。次は…じゃんっ!」
私は自分のカバンからとある器具を取り出す。