果実と恋のバスケット
氷のように冷たい、怒りの表情―――。
あの人は、本当に…。
「ブドウくん…?」
ブドウくんは、ちらりと私を見る。
その瞳は、いつものように穏やかな藤色だ。
「すみません、アンズさん。まさかこちらに逃げるとは思わず…。残党共を片付けるのに手こずって逃がしてしまいました。でもご心配なく。すぐにお掃除しますから」
いつも聞いている、流暢で礼儀正しい敬語。
じゃあ、あれは幻聴、だったのかな…?