First Last Love

◇◇村上健司◇◇ 悔恨


一颯(いぶき)……」

終わったあと、一颯が、俺に背中を向けて肩を振るわせている。

やっと俺のものになったのに、確かに俺を好きだと言ってくれたのに、なんで背を向けるんだ。

むき出しの肩にそっと手をかける。

「泣いてるの?」
「泣いてないよ……」

「俺、乱暴だった? 一颯、可愛くて、愛おしすぎて、俺夢中で……途中から記憶が曖昧……。なあ、一颯……」

可愛かった。
恋しかった。

理性なんて霧散するほど可愛くて、心臓がちぎれるように痛くて、強く強く一颯を求めた。

無我夢中過ぎて、俺いったい何をしたんだろう、と不安になる。

 背を向けられていることに耐えられず、俺はできうる限り丁寧に彼女を反転させる。
一颯は俺の胸の中に深く顔を埋めてきた。

まさか、初めてだった? 

あの家にいたんじゃ、恋愛なんてできなかったんだろうか。

「一颯、初めてじゃ……」

「違う。大学生の時につき合ったことはあるから。バレて、すぐ別れさせられたけど」

「……なんて野郎だよ。……じゃ、今でもそいつの事が忘れられない、とか……」

 一颯の心に他のやつがいるなんて、考えただけでナイフで胸をズタズタに切り裂かれる感覚がする。


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