夢見る契約社員は御曹司の愛にスカウトされる
「莉愛、お帰り。どうだった?尚人に迫られたりしてないか?本当は迎えに行きたかったんだ」

「何も……ないよ」

 祐樹は険しい顔をして莉愛の前に立った。そして顎を取って自分の方を向けさせた。

「泣いたんだろう。目が赤い。何かあったんだな」

「あ、あのね、ごめん。彼にやっと……祐樹さんと入籍したことを伝えられた」

「そう……それで?諦めてくれたんだよな。どうして莉愛が泣く?」

「泣いてなんて……」

「莉愛、嘘はだめだ。どうして隠すんだ」

「ううん、色々話していたらちょっと……」

「僕には話せないのか?悩みを尚人には話して、ここでは無理に笑ってるのか?愚痴でもなんでもいいから話してほしいと言っただろう。僕は上司の前に君の夫だ」

「……祐樹さん……」

 祐樹は莉愛の手を取った。

「莉愛。話したくないなら無理に聞かない。でも、つらいことがあるなら、悩みがあるなら話してくれないと……」

 莉愛はつらそうな祐樹を見て言った。

「祐樹さんこそ、実のお父さんやお兄さんとのこと話してくれていないし、紹介してもくれない。私のこと反対されたままなんでしょう?」

 祐樹は目を光らせた。

「尚人のやつ、何かうちのことで余計なことを言ったのか」
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