初めての恋のお相手は
「…馬鹿の集まりね」



呆れるように祠堂さんは呟いて
伏せていた目を上げて、私を見た。



「いい?楸
あなたのその顔も、声も、体も
ご両親から貰った大事なものよ」


「それを、貶したり
揶揄するような人間の言うことを
真に受けてはいけないわ」


「否定なんてしなくていい
自分のせいだなんて思わなくていい」


「あなたの価値は、考えは
あなたが自分で決めればいい」


「堂々としていればいいの
はっきり言えばいいの
意思表示しなさい」


「あなたには
拒む権利も、選ぶ権利もあるんだから」



真面目な顔で言われた言葉に
目の奥が熱くなり、唇が震える。



……祠堂さんはいつもそうだ。


私が今まで生きてきた人生。
その背景にあるものも鑑(かんが)みて。


表面に見えるものだけじゃなく
裏の、深いところにあるものまで
ちゃんと、見ようとしてくれる。


自分の目で見て、耳で聞いて、言葉で確かめて
ちゃんと『知った』上で
目の前にいる相手と向き合ってくれる。
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