真夜中の初詣は恋の予感
 せっかく会えたのに、それでいいの?
 心の中の自分が私に問いかける。

 いつもと変わらない日常は、自分から変えようとしないと、きっと変わらない。
 変えるには勇気がいる。
 そんな勇気、私には……ない。

「夜遅いですから、帰りはお気をつけて」
「はい……」
 ああ、これでもう終わりだ。
 本当はもう少し、話していたい。

「あ、あの!」
 私は自分の中の勇気を総動員して言った。

「よかったらお礼をさせてください! 屋台でなにかおごります!」
 お礼なら不自然じゃないよね?
 屋台でたこ焼きかなんか買って、それを一緒に食べるくらいなら……。

「お礼をしてもらうほどのことしてないですよ」
 彼は苦笑する。

 断られた、と私はがっかりした。
 しょせん、そんな感じだよね。小さな勇気はあっさり砕かれた……と思ったのだけど。

「でもせっかくだから、ご厚意に甘えようかな」
 続いた言葉に私は目を輝かせた。

 あ、駄目だ、こんな顔をしていたら彼に気持ちがばれちゃう。
 慌てて表情を繕おうとするけど、寒さで肌が強張ってうまく表情が作れている気がしない。

「さっそく願いが叶ったかな……」
 ぼそっと彼が言う。

「え?」
 聞き取れなかった私は聞き返すけど、彼はただにっこりと笑う。

「一緒に行って選びましょう」
「はい!」
 私は答えて、彼と一緒に歩き出す。
 私の新しい一年、新しい日々が始まる。






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