【短編集】あなたのおかげで今、わたしは幸せです
「アメリー」


 屋敷に着くとすぐに、セヴランがアメリーのことを迎えに来てくれた。


(ああ、セヴラン様……! なんて素敵なんだろう!)


 白い夜会服と紫色のスカーフがとてもよく似合っている。服装に合わせて前髪を後ろに流しているのが艶っぽく、アメリーはクラクラしてしまう。興奮を必死に押し殺しながら、アメリーはセヴランから差し出された手をとった。


「ドレス、すごく似合っているよ。本当に可愛い」


 ――極限状態でそんなことをささやかれてはたまらない。アメリーの頬が真っ赤に染まった。


「パーティーがはじまるまで時間があるし、少し歩こうか」


 セヴランにうながされ、アメリーは彼と並んで歩く。


(どうしよう……さらに緊張してしまう)


 夕闇に二人きり。場所も、服装も、いつもとは違っているし、妙にドキドキしてしまう。もちろん、パートナーに誘われただけで、恋人になれるとか、将来の約束ができるだなんて、だいそれた期待はしていない。それでも、セヴランは多少なりとアメリーに好意を抱いてくれている可能性があるわけで……。


「――どうしてアメリー様がここにいるの?」


 唐突に名前を呼ばれ、セヴランとアメリーはその場で歩を止める。


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