【短編集】あなたのおかげで今、わたしは幸せです
「とはいえ、できれば勝率はあげたいところだよね」


 そう言ってアンベール様は一枚の封筒を私に差し出す。促されて封を開けると、なかには夜会の招待状が入っていた。


「一緒に行かない? お父様やファビアン公爵へのいいアピールになると思うんだ。もちろん、ドレスは僕が用意するよ」

「え? だけど……いいの?」


 夜会にはたくさんの貴族たちが出席する。学園に在籍しているのは同年代の貴族令息たちだけで、とても少数だ。もしも一緒に夜会に行ったら社交界でも私たちが『恋人』だと認識されてしまうんじゃ……。


「誘っているのは僕のほうだよ? ラナと一緒に行きたいんだけど、駄目かな?」


 ねだるような声音。聞いているだけで胸が甘ったるくなる。……まるで本当の恋人に送るような言葉だ。


『勘違い、しちゃ駄目ですよ?』


 と、ロミー様の声が頭のなかに響き渡る。


(そうだね……)


 勘違い、しちゃ駄目だ。グッと気を引き締めながら、私は「ありがとう」と返事をした。


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