The previous night of the world revolution4~I.D.~
緑色のもみの木を、せっせと弄っていたオルタンスは、くるりと振り向いた。

「あぁ、お前達…丁度良かった。一緒に飾り付けしないか?」

「…飾り付け?」

ぽかん、とするルーシッド。

…なんか、色々話が見えたな。

「もう面倒臭いから先に言っとくよ。お前、ルレイアからメールが来たんだろ。クリスマスツリーを飾った写真と一緒に。それに触発されて、自分も飾りたいと思って買ってきたんだろ」

「その通りだアドルファス。さすがだな」

そんなことだろうと思ったよ。

外れて欲しかったのだが無理だった。

ルレイアもな、いちいちオルタンスにメール送ってくるなよ。友達かよ。

「ルレイアが飾ってたのは、物凄く大きいツリーだったんだ。だから俺も大きいツリーを買ってきたんだが、一人で飾り付けるのは大変でな。一緒にやってくれると助かる」

「断る」

「…冷たいな。たまには付き合ってくれても良いと思わないか?」

「何だかんだ毎回付き合ってやってるだろうが。ツリー飾りたいならルーシッドを使え」

ルーシッドが、えっ!?みたいな顔をしていたが。

俺は知らん。お前付き合ってやれ。

大体、お前がスルーせずに話しかけたのが元凶なんだからな。

「じゃあルーシッド、手伝ってくれ。あ、てっぺんの星は俺が飾るから、それ以外を頼む」

「…」

ルーシッドはオルタンスに手渡されたオーナメントを、呆然と眺め。

そして、泣きそうな声で、

「…アドルファス殿…。手伝ってはもらえませんか…」

と言った。

…まぁ…俺も鬼じゃないからな。

ここで逃げて…後々ルーシッドに恨まれるのも嫌だし。

「…分かったよ。付き合ってやるよ…」

…変なことしてるときのオルタンスに、鉢合わせしてしまったのが運の尽き。

がっくりと肩を落とし、俺もまたオーナメントを手に取った。
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