The previous night of the world revolution4~I.D.~
ルレイアがやって来る、一時間前。

俺の執務室は、既に賑やかだった。

「これね、ルレイアが選んでくれたの」

「へぇ~。可愛いね。すっかりゴスロリが板についたね、シュノは」

「えへへ…」

…ゴスロリ似合うねって、それ褒め言葉なのか?

シュノは喜んでるようだけど。

で、その横では。

「むぐむぐ…。うま~。ルリ公のお菓子うま~。これ何て奴?」

「ミルフィーユだ、アリューシャ先輩。パイ生地から作った力作だぞ」

…相変わらず、料理上手なルリシヤが、自作のお菓子をアリューシャに振る舞っていた。

ミルフィーユって、あれ結構難しいんだろ?

よく作るよ、お前。

…それにしても。

…なんか、今日ちょっと静かじゃないか?

何かが足りないような気が…しなくもない…。

「ルルシー先輩も食べるか?ミルフィーユ」

「え?あ、うん…。ありがとう…」

ルリシヤのミルフィーユは、確かに店で売ってるものかというくらい美味しかったけど。

でも違う。何かが足りない。

一体何が足りないんだ…と、思ったら。

何のことはない。

「…あれ?今日ルレイアいないじゃないか」

「…ルルシー、君今頃気づいたの?」

むしろ、お前達は気づいてたのか、アイズ。

よく見たら、他の幹部組はいつも通り来てるのに、ルレイアだけがいない。

あいつ、何処行ったんだ?

道理でなんか寒々しいと思った。

いつもなら、俺の横にべったりくっついてくるからな。

「ルレイアは何処に行ったんだ?」

「いつも引っ付くなとかくっつくなとか言う割には、いなくなると寂しいんだな。シャイなルルシー先輩だ」

「ちげーよそういう意味じゃねぇ」

気持ち悪い誤解をするな。

いつもいる奴が今日だけいなかったら、そりゃどうしたのかな?と思うだろう。

「あいつ、何処に…」

また変なことに首を突っ込んでいなきゃ良いが、と思った、そのとき。

「こんにちはー」

件のルレイアが、遅れ馳せながら俺の部屋にやって来た。

そのルレイアに、俺は驚きのあまりこれでもかと目を見開いた。
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