色褪せて、着色して。~リリアン編~
 イナズマさんの表情に、「ひぃっ」と言いたくなったが。
 脅えるわけにはいかない。
 トペニのことを、どうするか自分で動かなきゃいけない。

 正直に、トペニのことを話した。
 そして、騎士としては世界最強と呼ばれるサンゴさんのお墨付きだという念を押した。
「というわけで。トペニを国家騎士に入れていただきたいのです」
 大声で一気に話したせいか、喉がからからになった。
 耐え切れず、紅茶を飲んだ。
 後ろに立っていたバニラが、黙ってティーカップに紅茶を注いでくれた。

 バニラには、トペニが罪人であることは話した。
 でも、どうしても私が娼婦のふりをして囮になったことは話せなかった。
 …この国が滅亡しかねない。

 どうしたら、トペニと出会えるのかとバニラは思ったに違いない。
 だが、私が話さない以上。それを追求しないのが彼女だ。

「話はだいたいわかった」
 腕を組んでイナズマさんが言った。
 本当にわかったのだろうか?
「まあ、サンゴ様が言ってたように。結局のところコネなんだよ。騎士っていうのはさ」
 イナズマさんは、聞こえるように。ため息をついてみせた。
「俺よりも、適任の男がいるから。そいつに頼んでみるわ」
「本当ですか」
 両手を合わせて立ち上がる。
「ただし、その男が引き受けるかは姫君次第だ」
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