色褪せて、着色して。Ⅴ~リリアン編~
ある男の秘密
私は、基本的に同性の人間と仲良くできない。
高校時代は、この美貌のお陰で。
テイリーがいたし、元婚約者がいた。
先生がいたし。クラスメイトの男子は親切にしてくれたし。
…まあ、女友達がいなかったということ。
この国に来ても。それは継続していて。
カレン様は、勿論。目の前に座っているカスミ様も本当のことを言えば、好きじゃない。
本当は好印象を持っていたけど。
私が路頭に迷った時に助けてくれなかった。
だから、どうでもよくなった。それだけのこと。
そんなことを言ってしまったら、身近にいるバニラはどうなってしまうんだということになる。
何故か、バニラは平気だ。
人間じゃないから? そこはあんまり考えないでおく。
「お忙しい中、申し訳ありません」
ぺこりと頭を下げるとカスミ様はぶんぶんと首を振る。
「いいのいいの。たまには外でお喋りしないと、息が詰まっちゃうから」
カスミ様は子育てと畑仕事で忙しい。
今日は無理言って時間を作ってもらっている。
いつもだったら、カイくんたちが遠くから見守っているけど。
人払いをお願いしてもらって。
カスミ様のお子さんの面倒を見てもらっている。
いつもは女子会と称して、バニラも座って3人でお茶とケーキを食べているが。
今日はすぐに帰れるように、お茶は辞退した。
「事前に言っておきます…失礼なことを言います」
「え、なあに?」
カスミ様は血筋としては「貴族」だけど。
農家の娘…としての生活が長かったせいか、時々。言葉遣いが崩れるときがある。
それが、居心地良いってときもあるのかもしれないけど。
相変わらず、あの日以来。屋敷に入ることは許されず。
庭園でお喋りしている。
「ご主人のヒサメ様に会いました」
「えっ…」
驚いた表情を浮かべた後。
カスミ様の顔色がみるみると青ざめていくのが見えた。
この人はずっと、脅えている。
夫の存在を知られることに。
ずっと、脅えていた。
カスミ様は「なんで…」と呟いて、うつむいた。
数秒黙った後。
「…ああ。ごめんなさい。いつかは会うはずよね」
と言った。
声は小さく、普段よりも低い声だ。
「あの、カスミ様」
「夫が若すぎるって言いたいんでしょ?」
開き直ったかのように、カスミ様はこっちを見た。
「マヒルさんの国では、いないのかもしれないけど。年の差夫婦っていうのは・・・」
「いえ。そうじゃなくて…カスミ様」
カスミ様は隠し通したいらしい。
怒っている姿を初めて見た。
「じゃあ、何?」
「呪いですよね? ヒサメ様は」
呪い…という言葉にカスミ様は目を見開いた。
高校時代は、この美貌のお陰で。
テイリーがいたし、元婚約者がいた。
先生がいたし。クラスメイトの男子は親切にしてくれたし。
…まあ、女友達がいなかったということ。
この国に来ても。それは継続していて。
カレン様は、勿論。目の前に座っているカスミ様も本当のことを言えば、好きじゃない。
本当は好印象を持っていたけど。
私が路頭に迷った時に助けてくれなかった。
だから、どうでもよくなった。それだけのこと。
そんなことを言ってしまったら、身近にいるバニラはどうなってしまうんだということになる。
何故か、バニラは平気だ。
人間じゃないから? そこはあんまり考えないでおく。
「お忙しい中、申し訳ありません」
ぺこりと頭を下げるとカスミ様はぶんぶんと首を振る。
「いいのいいの。たまには外でお喋りしないと、息が詰まっちゃうから」
カスミ様は子育てと畑仕事で忙しい。
今日は無理言って時間を作ってもらっている。
いつもだったら、カイくんたちが遠くから見守っているけど。
人払いをお願いしてもらって。
カスミ様のお子さんの面倒を見てもらっている。
いつもは女子会と称して、バニラも座って3人でお茶とケーキを食べているが。
今日はすぐに帰れるように、お茶は辞退した。
「事前に言っておきます…失礼なことを言います」
「え、なあに?」
カスミ様は血筋としては「貴族」だけど。
農家の娘…としての生活が長かったせいか、時々。言葉遣いが崩れるときがある。
それが、居心地良いってときもあるのかもしれないけど。
相変わらず、あの日以来。屋敷に入ることは許されず。
庭園でお喋りしている。
「ご主人のヒサメ様に会いました」
「えっ…」
驚いた表情を浮かべた後。
カスミ様の顔色がみるみると青ざめていくのが見えた。
この人はずっと、脅えている。
夫の存在を知られることに。
ずっと、脅えていた。
カスミ様は「なんで…」と呟いて、うつむいた。
数秒黙った後。
「…ああ。ごめんなさい。いつかは会うはずよね」
と言った。
声は小さく、普段よりも低い声だ。
「あの、カスミ様」
「夫が若すぎるって言いたいんでしょ?」
開き直ったかのように、カスミ様はこっちを見た。
「マヒルさんの国では、いないのかもしれないけど。年の差夫婦っていうのは・・・」
「いえ。そうじゃなくて…カスミ様」
カスミ様は隠し通したいらしい。
怒っている姿を初めて見た。
「じゃあ、何?」
「呪いですよね? ヒサメ様は」
呪い…という言葉にカスミ様は目を見開いた。