さよならの前に抱きしめて
私も同じ──…
小鳥遊くんといると、嫌なこと全部忘れちゃうし、心がポカポカ温かいんだ。会話なんかなくても、全然平気なの。


「私も同じだよ。今みたいに笑う小鳥遊くん好きだなあ」


後から気づく。ポロッと口から落ちた言葉。

『好き』の二文字が…私の自然に出てきたこと。


なに言ってるの!?

これ、じゃ告白──…


私はほんとに恥ずかしくて、泣きそうなほど切なくなって小鳥遊くんの顔が見れない。一拍置いて、隣から小鳥遊くんが言った。


「ありがと。都倉さん、明るいし素直で…その、好きだよ」


今度は小鳥遊くんの、好き。すき…。

柄になく照れてる小鳥遊くんがいて、私も頬が、体が熱くなる。


「あ…っ。私、用事あるから帰るね!また夕方っ!」


荷物を持って寒い冬の午後から抜け出す。振り向かずに、熱を持った心を隠して。


もし、もし…あのままいたら、どうなってたのかな?

また、好きって言ってたかもしれない。
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