御曹司様の一目惚れ人生ゲーム〜私はただ愛されたかっただけ〜花村三姉妹   葉子と仁の物語
書類を片付けて、コンピュータの電源を落とした時、ケータイが鳴った。小鳥遊からだ。なぜ内線を使わずケータイなんだ?


「先輩、大変です!」


仕事中は俺を社長と呼ぶ彼の慌てた第一声に、嫌な予感がする。




小鳥遊が喫茶室で川田の娘に注意をしていたら、少し離れた席に葉子ちゃんがいて、顔面蒼白で喫茶室を出て行った。この時、店長から川田の娘が大声で昨夜イタリアンレストランで俺とお見合いし、自分は九条社長夫人といい加減なことを喚き散らしたらしいと聞いた。


おそらく、葉子ちゃんはそれを聞いて出て行ったんだろう。


小鳥遊が追いかけて声をかけるも、彼女は振り返らずタクシーに乗り込み、走り去った。


この状況は、以前雅がロビーでいより君に抱きつかれたのを見た姫ちゃんが、俺の制止を振り切りタクシーで去った時と全く同じだ。


おい、まずいぞ、まずいぞ。完全に誤解された。とにかく川田の娘を警備室へ連れて行き、川田社長と常務に連絡しないと。
それは小鳥遊に任せよう。


俺は喫茶室へ行き、ダメージコントロールだ。喫茶室には常連のお客様やおふくろと仲の良いご婦人方もいると聞いている。そして涼介に連絡して川田親子の件を頼もう。その後、葉子ちゃんに連絡しなければ。




涼介が駆けつけてくれ、会議室で川田親子、社長と出張帰りの専務も含め話を進める。話し合いの合間に何回も葉子ちゃんへ電話とメッセージを入れるが、電話にも出ないしメッセージにも既読が付かない。




川田親子の件を片付け、急いで車で彼女のマンションへ向かった。インターフォンを鳴らすが応答はなく、外から見ても彼女の部屋は暗いままだとわかる。


おまえは一体どこにいるんだよ?
俺の話を聞いてくれよ。
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