色恋沙汰はどこまでも


 眠すぎた入学式は滞りなく終わった。

 教室に戻る時は適当でいいらしく、後ろからギュッとお腹に抱きついてきたのは美智瑠だろう。これが美智瑠じゃなかったら容赦なくブッ飛ば……いやいや、違う違う。私はごくごく普通の女子高生、ただの女子高生、そう言い聞かせる。

 「にしても、全コースの新入生が集まって人数ヤバかったね~」

 「それな」

 「芸能コースと特進コースめっちゃイケメンいたし~。これから楽しみ!」

 彪ヶ丘学園の顔面偏差値は異常に高いって聞いてたけど、まあ噂通りだなって感じ。美男美女揃い。

 「私は普通の学園生活が送れればなんでもいい」

 「えー、つまんなっ。てゆうか凛子、爽やかイケメンとなぁに話してたの?」

 爽やかイケメン?

 「あのメンズ、たしか同中だったくなぁい?」

 ああ、新藤君のことね。たしかに爽やかイケメンかも、背も高いし。ていうか、美智瑠って私の遥か先を歩いてたよね。なんで新藤君と喋ってたって知ってんのよ。千里眼?

 「別にこれといった会話はしてないかな」

 「ふ~ん。凛子にはあーゆうメンズのほうが合ってるかもよ~?」

 「んー、どうだろ」

 「だって凛子の元カレってチャラチャラしたの多くなぁい?」
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