色恋沙汰はどこまでも
 しれっと触れるだけのキスを唇に落としてパッと姿を消したあのクソ変態野郎をどうやって殺ってやろうか、その殺害計画を考える脳しか今はない。

 「凛子さん、寝てるんすか」

 「あ、ああ、ごめん!音楽聴きながら勉強してた」

 「熱でもあんのか?今すぐ体温計持ってっ」

 「それどういう意味よ」

 ちゃちゃっと身なりを整えて部屋のドアを開けると、龍が今までにない焦り方をしながら後退りするのを見て『なにしてんの?』って顔で眺めるしかない私。

 「なによ」

 「いや、なんつーか、えー、いや、別に」

 明らかに動揺してる、こんな龍みたことない。私は後退りする龍をグイグイ追い込んで壁に追いやった。

 「で、なによ」

 「いや……つーか、なんつー顔してんすか凛子さん」

 「はい?」

 「俺頭冷やしてくるんで先に飯食っといてください、じゃ」

 「は?え、ちょっと龍!」

 去っていく龍をボケーッと眺めて、日髙の抹殺計画を考える私であった。
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