(二)この世界ごと愛したい
案内された武器庫には、様々な武器がある。
通常の剣。特殊な剣。大刀。矛。弓矢。鉞。
それぞれ特徴は分かってるので、とりあえず私はアキトに特殊な剣と大刀と矛を手渡す。
「どうすんだ、これ。」
「まあ念のため?」
それを抱えて朝稽古した広場へ。
着いてすぐに私は二本の剣を抜きます。
「へえ。」
「ん?」
「中々様になるもんだなあ。」
「……。」
ああ、嫌になる。
言うこと成すことハルと同じ。
「あ?何だよ?」
「…ほぼ一言一句違わずハルに最近同じこと言われたの。」
「光栄なことだなあ。」
「あーやだやだ。」
ホームシックが蘇ってしまう。
けど、これから修行なので。一旦邪念は払い除け、私はアキトに向き合う。
「とりあえず普通に稽古しましょー。」
「よし!やるか!!」
気合い充分なアキトも自分の剣を抜く。
すぐに私から攻撃を展開。
剣と剣がぶつかる金属音だけが辺りに響く。
そんな中で私はアキトの動きを型として捉えるため頭を働かせる。
「前よりかなり力を付けたみたいだけど、やっぱり少し…荒いよね。」
「ああ!?お前は余裕かよ!?」
「いやいや、私もうほぼ全力だって。」
驚くべき誤算。
たぶん前と同じく剣一本だったなら、私とほぼ同等ではないかと思うほど急成長しているアキト。
男子の身体能力の向上ときたら、本当に恨めしいほど羨ましい。
本来の一騎打ちならば、私はるうにももう劣るのかもしれない。